第5日
2013年8月29日(木) 「予想を遥かに超えて楽しかったケイヴチュービングと、ジャガーエンカウンター」 2013.9.15 公開
この日も何度も夜中に目を覚ますが、結局6時半まで寝てしまった。
寝過ぎた。
朝も雨が降っている。
ブッフェスタイルの朝食
1Fのレストランで朝食。
これぐらいの規模のホテルになると、ブッフェだ。
雰囲気はやっぱり都市っぽくって、あまりフレンドリーという印象は受けない。
この日はベリーズ動物園を見学した後、ケイヴチュービングという、タイヤに乗って川を下っていき、
途中で洞窟をくぐり抜け…、というアクティヴィティに参加する予定だと、
到着した日に日本人ガイドのAさんから聞いていたが、8時30分の迎えに現れたのは、
来るはずだったそのAさんではなく、カルロスというベリージアンのガイド。
どうやら天候の懸念等もあって、先にケイヴチュービングを済ませてから、午後に動物園、という流れにしたらしい。
申し込み時の案内によると、動物園は日本語ガイドのはずだったが、日程変更のためにそうではなくなるようだ。
というのも、当初の日程ではこのケイヴチュービングは27日(火)に予定されていたのだが、
元々26日(月)予定だったブルーホールダイヴィングが27日(火)にズレこんだこと、
また雨で増水した影響でケイヴチュービング自体、クローズが続いていたことの影響で、この日の催行と相成った。
で、ケイヴチュービングは英語ガイド、動物園は日本語ガイドの予定で、
それらは最初は別日に行われることになっていたのだが、今回の日程変更により同日開催となり、
また市街地から離れたその2つのアクティヴィティの実行場所が地理的に近く、
途中でガイドの交代が困難なため、ケイヴチュービングの英語ガイドに動物園の方も合わせたのだろう、
と推測はできる。
念のため、カルロスもまた他のガイド同様、親切で丁寧で優秀なガイドであった。
カルロスのドライヴでケイヴチュービングを目指す
ホテルを出発し、ウェスタンハイウェイという幹線道路をひたすら進む。
カルロスは名前からするとスペイン系だが、ベリーズ生まれのベリーズ育ち、マヤ人である。
まだ結婚して日が浅いそうだが、息子さんが「ドラゴンボールZ」が好きで、
悟空やべジータなどのイラストを描いている、とそのイラストの写真を見せてくれたりした。
来年、メキシコのカンクンにハネムーンに行くつもりだ、節約のために自分で車を7時間ほど運転して、とのことだ。
そういえばAさんも、数か月に1度、カンクンに車で買い物に行くと言っていた。
ベリーズにはないものを買える、最寄りの大都市なのだそう。
途中、ハッティヴィルヴィレッジという村を通ったが、説明によると、
かつてハッティヴィルという名のハリケーンがこの辺り一帯を襲い被害を与えたという。
その後、人々の努力によって復興を遂げ、村になった時に、そのハリケーンの名にちなんで村の名前としたらしい。
一際目立つハッティヴィルヴィレッジのポリスステーション
また道中にカルロスが話してくれたが、ベリーズの主な産業はオレンジの他、サトウキビ、ロブスター、
それから植物由来のスウィートオイルなどもあるそう。
宗教は国民の半数以上がカトリックだが、カルロス自身はキリスト教徒ではなく、
マヤ土着の信仰を持っている、みたいなことを言っていた。
ケイヴチュービングが近いことを知らせる、田舎道の交差点にあった四阿
ハイウェイといいながらも相当な田舎道を延々走り続け、
しかしながらケイヴチュービングの存在を告げる看板なんかも目についてきた。
途中、ベリーズ動物園と書いた看板も通過。
動物園はここにあるんだな。
ケイヴチュービング拠点 駐車場には車がたくさん停まっていた
そして9時45分頃、目指すケイヴチュービングの拠点に到着した。
開けた場所に建物がいくつか並んでおり、更衣室となるシャワールームなども備えられている。
早速我々も着替え、それからヘッドランプ、レンタルのウォーターシューズ(クロックスだった)、
そして肝心のタイヤといった装備品を借り受けて、いざ出発。
ここからトレッキングに出発
まずは約30分、ジャングルトレッキングを行い、川下りを始めるスタート地点へと歩くのだ。
トレッキングといっても道は意外なほど整備が行き届いていて、またほぼ平坦なのでとても歩きやすい。
が、途中に渡河地点があり、張り渡されたロープを片手に掴みながら渡っていくのだが、
昨晩の雨による増水もあって、それがなかなかスリリング。
体の小さな妻は片手では危険と判断されたのだろう、カルロスの指示で早くもライフジャケットを身に付け、
タイヤも彼に持ってもらって、両手でしっかりとロープに掴まりながら向こう岸に辿り着いたのであった。
ロープを伝いながら川を渡る
途中にはハキリアリの群れが葉を運んでいる様を見ることもできた。
また、途中に生えている薬木について説明してもらったり、育ちかけの小さなパイナップルを見せてもらったり。
葉を運ぶハキリアリの群れ
育ちかけのパイナップル
途中通った洞窟の中にはコウモリもいた
ちょうど30分ほど歩いて、いよいよケイヴチュービングの出発地点に到着。
おお、景色からしてすでにかなり楽しそうだ、これは。
眼前に広がる川面、そびえ立つ断崖、そして下流に口を開けている洞窟に、テンションが上がる。
スタート地点に到着 皆楽しそうだ
我々もタイヤに乗って、下り始める
行く手には洞窟が口を開けて待っている
いざ、タイヤを浮かべ、その上に乗っかって下り始める。
水が冷たい。
20℃ないだろう。
水温が低いので、ここにはワニも棲んでいないそうだ。
ガイドのカルロスもハシャいでいる。
流れていって洞窟に入ると、当然のことながら真っ暗。
ヘッドランプを点ける。
内部はとても広く、一層空気はヒンヤリ感じられる。
洞窟の中はもちろん真っ暗でヒンヤリとしている
この暗闇をゆっくりと流れていく中、カルロスがマヤの人たちの世界観や価値観を熱い口調で説明してくれ、
またそれはアジア人のものとも共通点があるのだ、と眼力を込めて語っていた。
来る途中に宗教の話を聞いた時にも少し感じたが、彼は入植してきた白人の子孫ではなく、
ネイティヴのマヤ人の末裔だから、いわゆる米英文化には馴染まないんだろうな、と思った。
歩いて登ってくる時間が30分だったから、きっとそれより速く下っていくんだろう、と漠然と思っていたが、
案外流れが緩く、それ以上の時間はタイヤに乗っていたはずだ。
来る時に渡河した、ロープを張り渡した地点に上陸して、ケイヴチュービング体験は終了した。
楽しいケイヴチュービング終了
これは本当に面白かった!
ガイドの面々も、これはベリーズならではアクティヴィティだ、ということを強調していたが、
確かに他に体験できるところはあまり聞いたことがない。
もっともっと観光資源としてアピールしていってもいいのでは?
拠点に戻り、着替えをしているあたりで、強烈な雨が降り出した。
最近の日本のゲリラ豪雨も凄いが、それをも凌ぐ本場のスコールだ。
11時半頃、ここを出発し、ランチを摂りにウェスタンハイウェイへと戻る。
ここからは、カルロスの親友であるという、サミュエルという同業者も我々と同行する。
彼もまた気のよさそうな兄ちゃんだ。
素朴なアミーゴズでランチ
街道沿いのアミーゴズという店に入り、昼食。
ウォーターメロンの生ジュースを飲みつつ
(南国に行くといつも思うが、フルーツのフレッシュジュースがとても美味い。そして安い)、
もうすっかりお馴染となったワンプレートディッシュを頂く。
皆で楽しく食べる 左がサミュエル
それにしても豪雨の勢いはとどまることなく、一向に衰えない。
この後は動物園に行く予定なのだが、果たして大丈夫なのか…?
まあこれが自然なので仕方ない。
外は豪雨…
雨と不安の中、13時過ぎに店を出て、ベリーズ動物園へと向かう。
ここからは僅か10分ほどで着き、車を停めて中へ。
ちなみに動物園といっても施設のようなものが道路から見えるわけではなく、
通り沿いに立つ看板によってその存在が分かるだけ。
動物たちは小経の奥、ジャングルの中に飼われているようだ。
実際、動物園という言葉から我々がイメージする姿とは大きく違い、施設内に開けた広いスペースはほとんどなくて、
細いトレイルによって各動物のエリアが結ばれたコンパクトな動物園だった。
この小径の奥に動物園がある
小ぢんまりとした動物園のエントランス
園内の様子
国獣であるバク
国鳥であるトゥーカン
吠えるホエザル
人の背丈ほどある大きなコウノトリ
大あくびするジャガー
ハーピーイーグル
国獣であるバク、国鳥であるトゥーカン(オオハシ)、それから各種鳥類やネコ科猛獣などをまずは見て回るが、
そうしているうちに雨が小降りになってきて、やがては止んだ!
素晴らしい。
そしてジャガーエンカウンターという、檻越しになるがジャガーに触れることができたり、
頭を舐められるという有料プログラムにせっかくなので参加する。
50US$かかるが、これが動物園運営や動物保護に役立つと思えば、高いとは思わない。
人間が檻に入れられ、待つこと数分、スタッフとともにジャガーの姿が木々の向こうから現れた。
パッと見た瞬間、あまりに敏捷過ぎる身のこなしに感動するとともに、
表現しようのない恐怖のような感覚が背中を走った。
これが獣だ。
ジュニアが我々の檻のところまでやってきた
このジャガーはジュニア・バディと名付けられていて、この動物園で生まれ育った6歳のオスとのこと。
野生から連れてきた個体ではないので、このようなプログラムも組めるのだろう。
我々の入っている檻のすぐそばまで来たジュニアは、スタッフの指示でゴロリゴロリと腹を見せながら転がる。
その時に、檻越しに掌を差し出し、硬い毛が生えた、それでいてサラリと心地いい体にタッチすることができた。
あくまで掌で触るようにスタッフには言われ、決して指を檻の外に出さないように念を押された。
チキンの餌もやらせてもらう。
まるで巨大なネコのよう
チキンの餌をやる
檻の上に乗ったジャガー
その後、ジュニアは檻の上に飛び乗り、これまたスタッフの合図で私の額をベロベロと舐める!
とても大きくてザラザラした舌触りが印象に残った。
そして大きな肉球にも触ってみる。
このジャガーエンカウンターも素晴らしい体験だった。
ジュニアに額を舐められる
大きな肉球にタッチ
動物園を出て、ベリーズシティに向けた帰路に就く。
途中、カルロスとサミュエルはプラムといっていたが、
小さな青リンゴの実のような果実を路傍の木からもぎ、食べてみた。
ちょっと渋いなー。
路傍に成っていた青い実
シティに入った辺りにある大きな墓地の前でサミュエルを降ろし、彼とはお別れ。
私たちは、何かお土産になりそうな品を少し探せたら、と思い、
地元のスーパーマーケットに寄ってもらうよう、カルロスに頼んでみた。
連れていってもらったのは、ダウンタウンにあるブロディーズというスーパー。
ブロディーズというスーパー
店内の様子
何店舗か市内で見かけたし、おそらくベリーズ最大のチェーンだと思う。
無事、ハバネロソースやチョコレートなど、メイドインベリーズの品々を買い求めることができた。
また、到着初日の日曜日とは大違いで、市内には人通りがたくさん。
学生たちは皆制服だった。
衝撃の事件が発覚したのはスーパーの駐車場に戻ってきた時。
車の後部座席の上に、何かモップの頭のような部品とバンダナみたいなものが置いてあるのを妻が発見した。
その瞬間、私も嫌な予感がしたが、ガイドのカルロスがすぐに「バッグをチェックしろ」と鋭い声を上げた。
元々車内になかったものがあった、その事実から導き出されるのは、
誰かが侵入した、それ以外に考えられないからだ。
車の中に置いたままにしていたリュックを探ると、カメラを始め私の所持品は無事だったが、
カルロスのiPhoneが失くなっていた。
すぐに駐車場係らしき若者たち数人に詰め寄るが埒が明かない。
挙句の果てには、そのうちの1人が助手席に乗り込んできてカルロスと口論を始め、
後ろに乗っている私たちは緊張に身を固くする。
しかしカルロスは激することなく、また怯むこともなく、落ち着いて対応しており大したもんだった。
結局彼らは車上荒らしを認めることはなく、私たちはその場を立ち去るしかなかった。
確かに駐車場に車を停めて降りる時、リュックを持っていった方がいいかな、と一瞬頭を掠めたが…。
それにしてもちゃんと料金を払って停める、スーパー付属の駐車場でもこんなことが起きるとは、
やはり日本の常識では通じない。
ただ、カルロスの電話は盗られて、私の荷物が無事だったという現実は、永遠に解けない謎だ。
17時前、ホテルに戻り、気の毒なカルロスには元気を取り戻してもらおうと、少し多めにチップを渡してお別れ。
部屋に戻ると、なんということか、ベッドメイクがされていない。
朝、私たちが出た時のまま、まったくの放ったらかしだ。
いろいろ起こるなあ、本当に…。
すぐにフロントに電話をし、すぐに係の者が来る、というはずだったが、
結局やってきたのは20分ほども経ってからだったろうか。
おばちゃんの客室係が、本当にごめんなさいね、と一応は恐縮しながら大急ぎで部屋を掃除。
明日は真っ先にピカピカにしておくからね、とおばちゃんは言うが、残念ながら今夜が最後の晩なのだ。
ベリーズ最後の夕暮れ
そういえばベリーズは喫煙率がとても低いように見受けられる。
ベリーズ人が喫煙している様を目の当たりにするのは、ついにこの旅行中一度もなかったんじゃないかな。
僅かに外国人旅行者が吸っているのを数回目撃しただけだ。
いずれにせよ我々のような非喫煙者にとってはありがたいことだ。
シャワーを浴びて、夕食を摂りにホテル1Fのシーヴューレストランへ。
クリーミーヴェジタブルスープという、見た目はホワイトシチューそっくりの1品と、
シュリンプキャセロールを注文、こちらも完食に成功した。
スープにはバゲットが、キャセロールにはバターライスがついていた。
クリーミーヴェジタブルスープ
シュリンプキャセロール
ベリーズ最後の晩も、早めに寝就いた。
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