第7日
2007年8月7日(火) 「インカ帝国の都 クスコ」 2007.10.30 公開
5:30起床、眠い。
営業開始が5:30と抜群に早いレストランで朝食を摂って、
チェックアウトを済ませて7時、迎えのウエハラドライヴァーと合流して空港へ。
今朝はいよいよインカ帝国の首都、クスコへ移動するのだ。
リマでずっと私たちの送り迎えを担当してくれるこのウエハラドライヴァー、
日系人ということでほんの少しだけ日本語が分かったりする。
ただ英語はほとんど解さないようだった。
宿泊した「ダブル・トゥリー・エル・パルド・ホテル」を朝に見てみる
空港へ向かう途中、改めて明るくなったリマの街を眺めてみると、
やはり率直に言って汚い街だ。
非常に雑多で、そして荒んだようなデンジャラスな空気が満ちている。
朝早いということもあり、気温は低くて寒い。
日本の冬の感覚にだいぶ近付いてきた。
天気は良くない。
空港でチェックインを済ませウエハラドライヴァーと別れ、
プラプラ歩いて空港内のショップでインカコーラのTシャツを買った。
こういうのは見つけたら即、あるうちに買っとかないとね。
空港のショップで見つけたインカコーラのTシャツ 即買い
我々の乗る便はスターペルー航空だが、
リマからクスコへ飛ぶ便は複数の航空会社から15分おきぐらいに出てるみたいだな!
すごい。
エクアドル同様、ペルーに入っても日本人の姿はまだほとんど見ない。
と思っていたら、飛行機の中で日本人添乗員に引率された
小規模な日本人団体ツーリストを発見した。
クスコに着いてみると天気は快晴、とても暖かかった
クスコの空港内には黄金風の仮面が飾られていたり、民族音楽の生演奏が行われていたり、雰囲気たっぷり
およそ1時間の飛行を終えてクスコに降り立ってみると、天候は晴れ!
気温も着陸前の機内アナウンスによると20℃あるらしく、意外やとても暖かい。
クスコの空港に迎えに来てくれていたのは
片言の日本語を話すペルー人女性ガイド、カティ。
さっそく車に乗ってホテルへ。
さすがに世界遺産のクスコ、街並みがとてもいい感じ。
15分ほどで宿泊する「ピコアガ・ホテル」に到着。
コロニアル時代の建物を改装したという低層のこのホテルも、すこぶる雰囲気がいい。
こじんまりとしているが清潔感があって、従業員の対応も感じがいい。
ピコアガ・ホテルはこじんまりとしているがいい感じ
コロニアル建築様式の証、広い中庭
ロビーではコカの葉てんこもりのコカ茶が供された
チェックインを待つ間、いきなりコカ茶のサーヴィスがあった。
このコカ茶は常にロビーに準備されていて、いつでも自由に飲めるようだ。
荷物を運び入れ、少し疲労が溜まって、
またひょっとしたら高山病の症状も少し出ているのか、
若干頭痛がするという妻は部屋で休み、
幸い元気な私は街へ出て買い物がてら少し歩き回ることにする。
といっても標高3400m近くに位置する街であることは事実だから、
今は元気でも無茶は禁物と言い聞かせながら。
妻が所望した虫除けクリームをまずは薬局で購入し、
それから名前を忘れてしまった何とかっていう店で
ハンバーガーとサンドウィッチを買って帰る。
昼飯にするのだ。
しかしどこをどう撮っても画になりそうな素晴らしい景観だ、クスコの街。
インカの石積み文化とスペインの建築様式が見事に組み合わされ、
それから数世紀の時を重ねてきたという歴史が説得力を加えている。
昼間だしそれほど危険とは感じないが、
街角には警察官の姿も多く見られるのでさらに安心して歩くこともできる。
が、観光客にお恵みをねだる乞食もチラホラいた。
どこを向いても絵になるクスコの街並み
絵になるクスコの街並み第2弾 遠くには山肌に建つ家々も見える
体調が万全でない様子の妻は買って帰った昼飯もそれほど食べずに寝ていたが、
午後から催行のクスコ市内観光には揃って参加する。
13:30、ホテルのロビーに集合。
なんとガラパゴスのノースセイモア島上陸観察ツアーで一緒だった
アメリカ人の女の子2人組とロビーでバッタリ。
クスコで泊まるホテルが一緒だったんだ。
ただ今日参加するツアーは別のようだった。
アルフレッドという名前の、缶コーヒーのCMに出ている宇宙人 ジョーンズ、
すなわちトミー・リー・ジョーンズにちょっと似たガイドに引率され
ヴァンに乗って出発したクスコの市内観光、参加客は我々の他は、
ドイツ人3人家族、アメリカ人カップル、国籍不明の白人カップル、
国籍不明の色黒カップル、国籍不明色黒の母と息子。
まずは中心部のアルマス広場にほど近いサント・ドミンゴ教会、
インカ時代はコリカンチャ(太陽の神殿
英語ではGolden Closureと言っていたような気がする)が建っていた場所へ。
コリカンチャの内部で解説を聞く 後ろ姿のおっちゃんがアルフレッドガイド
スペイン人がコリカンチャを破壊してその上に建てたサント・ドミンゴ教会の中庭
最も小さなインカの石、らしい 確かに直径3cmぐらいだった
インカ文明を象徴する緻密な石組みが随所に見られ、
“最も小さなインカの石”なんて面白いものも。
それ以外にも興味深い細工が施された石壁などを案内してもらった。
インカの石積みの上に征服者であるスペイン人が建物を載っけた様が、
間近で説明してもらいながら見るとよく分かる。
サント・ドミンゴ教会を後にして、一行はいよいよサクサイワマンへ。
なぜいよいよなのかというと、
実は私がクスコで一番楽しみにしていたのがこのサクサイワマン訪問だから。
小学生の頃だからもう20年以上も前、その当時書店でよく売っていた
ポケットサイズの分厚い子供向けの百科事典のような書籍群があった。
その中には超常現象、心霊やUMAなどをテーマにした
怪奇・ミステリーものなんかも結構あって、そんな中から、
確か“世界の七不思議”みたいなものを扱っている1冊を私は読んだ。
その本の中で、“カミソリの刃1枚すら入らないインカの謎の石組み遺跡”
として紹介されていたのがこの“サクサイワマンの砦”だったのだ。
12歳にも満たなかった当時の私はそのくだりを読んで激しく興奮した記憶がある。
それ以来、“サクサイワマン”という単語を決して忘れることなく、
いつかインカの遺跡を巡る機会があったら絶対に行ってみよう、
と漠然と思い願っていたという次第なのだ。
20数年来の夢が叶う瞬間。
ついにやってきた、これがサクサイワマンの砦
サクサイワマンはクスコの中心部から
車で15〜20分ほど山道を登っていった高台にあった。
開けた平地に階段状に築かれた石組みの塀。
何とも言えぬ感慨を覚える。
クスコの街をピューマの形に見立てたとして、
ここサクサイワマンはその頭部に当たる場所らしい。
また、ジグザグに連ねられた石組み塀は稲妻、ライトニングを表しているんだとか。
このサクサイワマン唯一の門、
と説明されたところで他の参加ツーリストらと写真を撮り合ったり。
カミソリの刃1枚通さない、というのが常套句の典型的なインカの石組み
ジグザグ状の石塀は稲妻に見立てられる
サクサイワマン唯一の門で記念撮影
サクサイワマンを後にして移動、
ケンコーの遺跡(観光客の行列がすごかった)に入場して、
洞窟の中にある祭壇として使われていたというテーブル状の石や、
インカ帝国繁栄時はピューマの形だったという、
今は破壊されてしまった大きな岩を見たりした後、
プカ・プカラの遺跡を車窓からチラリと見、それからタンボマチャイの遺跡に入場する。
ケンコーの遺跡は通路が狭いこともあって大行列
破壊される以前はピューマの形をしていたという大きな岩
車を降りて200mほど緩い坂道を歩いて登っていくのだが、
このあたりは標高約3800m、さすがに息が少し切れる。
もう富士山より高いじゃないか。
タンボマチャイにはこの数百年間絶えていないという泉が湧いていた。
アルフレッドガイドの説明も分かりよい。
タンボマチャイの遺跡
数百年来水が絶えぬというタンボマチャイの泉
タンボマチャイに至る道の途中に座って編み物をしていた
インディヘナのおばちゃんが飼っているアルパカ(リャマ?)の仔を抱いて記念写真
インカ独自の石造りと、スペインが持ち込んだコロニアル様式が
絶妙にマッチして熟成されたクスコの街並みはとても美しいと心から感じはしたが、
今日、こうしていくつかのインカの遺跡を回ってみて、
もし、征服者たるスペイン人たちがこのインカ帝国を訪れず、
滅ぼして支配してしまうことが歴史上なかったとしたら、
そのクスコの景観は果たしてどのようなものだっただろうか…、なんて考えてしまった。
インカの都のままだったクスコの街は一体どんなだったろう…。
インカ生粋、混じりけなしの遺跡は明日、
あのマチュピチュを訪れることになっているから、まあそちらに譲ろうか。
すべての見学コースを消化し、もう陽もすっかり沈んで暗くなってしまっていたが、
一行を乗せたヴァンは田舎町に建つ1軒の土産物店へ。
日本でも日帰りバスツアーなんかには
タイアップしている土産物店への訪問がコースに組み込まれているケースが多いが、
ペルーでも一緒かいな!
夜のクスコ アルマス広場周辺
クスコ中心部に戻り、アルマス広場前で解散。
さすがに夜になると冷える。
気温は10℃ぐらいかな、東京や大阪の真冬よりはちょっとマシな感じ。
ホテルに戻る前に、その足でブラブラして有名な“12角の石”を見に行く。
あったあった、角も12個あった。
さらに、「地球の歩き方」に載っていた、12角を超える“14角の石”も見に行く。
おお、14角だ。
しかし12角の石の方はやっぱり昔から有名だから見に来ている人も結構いたけど、
まだ発見されて年月が浅いらしい14角の石の方の見学者は皆無だった。
他の国のガイドブックとかには載ってないのかな?
真ん中にあるいびつで大きめの石が12角の石
12角の石がある往来は夜も人出が多い
これが12角を超える、14角の石
アルマス広場に面している高級レストラン インカグリル
そのまま夕食も食べて帰ることにする。
アルマス広場に面した「インカグリル」というレストランへ。
ちゃんとした高級レストランのようだ。
名前と店構えに惹かれてつい入ってしまったが、中の雰囲気もかなりいい感じ。
先ほどのクスコ市内観光ツアーで一緒だった色黒系カップルもいた。
私たちは19時頃入って難なくテーブルにありつけたが、ほどなくして満席に。
オニオンスープ、チキンサラダ、そしてアルパカのステーキを頼んだ。
アルパカステーキにはバナナのフライとライスみたいな、
でもライスではない不思議なものがトッピングされていた。
目玉焼きやバナナフライ、ライスのような芋のような不思議なものがトッピングされていたアルパカのステーキ
アルパカの肉は不思議なことにクジラのような味がした
もちろん初めて食べるアルパカの肉は、実に不思議なことにクジラの肉のような味がした。
海の中に棲んでいる獣の肉の味。
トドやアザラシなんかもこんなんだった。
実に不思議だ。
その他の料理も文句なしで美味かった。
ただ例によって一品一品の量がアホみたいに多い。
高地で、そして寝不足気味でもあるから食欲も若干減退しているのかもしれん。
値段はペルーの常識からするとべらぼうに高かったと言えるだろう。
まさに外国人ツーリストのためのレストラン。
かなりの人気店のようで、従業員の数も決して少なくはないのだが
みんなとても忙しそうに店内を動き回っていた。
思えば、いかに忙しくともこっちの人たちは客のために急いだり
焦ったりする素振りはほとんど見せずにのんびり仕事するのが常だから、
このインカグリルの従業員たちの日本的セカセカぶりはなかなか珍しい光景だった。
クスコの街は夜も人通りが多い。
また明るい時間帯とは違った趣がある。
ホテルに戻って風呂入って22時前には寝た。
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