海洋空間山男日記


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2024年12月9日(月)
不肖私の誕生日前祝いで綾部の極上オーベルジュ滞在一泊旅
不肖私め51歳の誕生日の前祝いとして、オーベルジュ喜久屋に泊まりに行った。
オーベルジュの名の通り、懐石で供される食事はひたすら美味く、心尽くしのおもてなしとともに、居心地の良い空間で贅沢な時を過ごさせていただいた。
往路途上、廃校跡を利用したピッツェリア、パンドーゾカフェで昼ごはんを食べたが、こちらも良い出会いとなった。


2024年12月6日(金)

最初の目的地である京丹波町のパンドーゾカフェまで、Googleによると高速も下道も10分ほどしか変わらなかったので、たまにはのんびり行くかと、走行距離が短くなる一般道を利用することにした。
有馬富士を横目に三田後川上線をうねうねと上っていったが、有名なクワモンペを始め、聞いたことはあるけど行ったことがないというポイントをいくつか発見することができ、独り頷く。

旧質美小学校にやってきた

見込みより15分ほど余計に掛かり、所要時間1時間45分でパンドーゾカフェに到着。
廃校となった小学校を活用し営業している店舗ということで、敷地内をくまなくうろうろしてみたが、自分の出身校でなくとも学校の雰囲気というのは懐かしいものだ。
空水連れなのでテラス席ではあるが、大きなストーヴや足元ヒーターが設置されており、またこの日は晴れて暖かかったので上着も要らないぐらいだった。

池には"メダカの学校"という立札

指令台できめる

二宮金次郎像の横で

渡り廊下の奥にパンドーゾカフェのテラス席が

猪の生ハムのピザと地元の平井牛を使った生パスタを頂いたが、ともに美味。
自家製のバゲットも添えられている。
ドリンクもフルーツ好きには嬉しいメニュー揃いだった。
全体に、かなりのこだわりが感じられる。
また、店主もゴールデン&イタグレと暮らす愛犬家ということもあって色々と話が盛り上がり、つい長居をしてしまった。
フレンドリーな店主夫妻のお人柄もさることながら、最後にちらりと覗かせていただいた教室をアレンジした店内は、インテリア含めとても楽しい空間であった。
再訪することになるだろう。

オーガニックのフルーツジュース

写真を撮る前に食べてしまった

パスタは生でもちもち

パンドーゾカフェから約40分の道のりを経て、15時前、綾部市にあるオーベルジュ喜久屋に無事到着。
駐車場で早速看板犬のルークくんが出迎えてくれた。
部屋に入ると、既に薪ストーヴを焚いて温めてくれており、お心遣いがありがたい。
なんとも味のある落ち着いた古民家をベースに、快適な居住空間になるべくしっかりモダンにリノヴェーションされている。
実に居心地が良さそうだ。

ルークくんがお出迎え

こちらがファサード

薪ストーヴで温めてくれていたメインスペース

犬と添い寝もOKの寝室は2F

ウェルカムお薄とカステラで一息

ウェルカムお薄を頂いたら、暗くなる前に付近を散策すべく外に出掛けた。
田んぼの畦道を歩いていると、茂みからぴょんと飛び上がる小さな獣の姿。
まだお尻が真っ白のふわふわな毛で覆われている当歳と思われる仔鹿が、川沿いの土手道を駆けていくではないか!
いきなりの出会いに、私も妻も空水もびっくり。
少し山の中に入り、不動の滝というスポットまで行って宿に帰ってきた。
滝へのトレイル麓あたりで罠の見回りに来ていた人がおり、先ほど見た個体ではないようだがちょうど小さな鹿が1頭掛かっているとのことだった。

全速力で駆けていく仔鹿

空水も負けじと走る

さらに走る走る

不動の滝を目指して荒れ気味のトレイルを上る

空水は滝に興味なし

最後に宿併設のドッグランで一遊び

まだ夕食まで少し時間があるので、空水に晩飯を食わせた後、汗をかいたこともあり私は風呂に入った。
この風呂がとにかく豪華!
石の浴槽は広大で、私が足をいっぱいに伸ばして横たわってもまだ余りある。
奥にはサウナも。
間接照明がまたスタイリッシュで、非日常感たっぷりだ。

風呂の豪華さに仰天

石の浴槽がまたゴージャス

もうすぐ晩ごはんやで

18時、居間に隣接するカウンターで夕食を頂く。
オーナーのKさんは元々京都の宮川町で料理店を営んでおられた生粋の洛中人で、コロナ禍を機に綾部市に移住、ここに新しい店を開くに至ったそう。

食事は扉を開けたところにあるカウンターで

なぜお前がそこに

八寸にぐじの蕪蒸しから幕を開けた懐石、メインは怒涛の松葉蟹であった!
まずは造りだが、特大サイズの脚たちがきれいに殻を剥かれて並んでいる様は、幸せの一言。
口の中でとろけるという表現がぴったりだ。
蟹味噌がどどんと載った甲羅と各部位は、目の前でご主人が炭火で焼いてベストなタイミングでほいと上げてくれる。
なんたる贅沢か。
さらにもう一皿、かに酢で味わう身がてんこ盛りで。
生姜が効いたかに酢だった。
今シーズン初の蟹をたらふく満喫した。

八寸

ぐじの蕪蒸し

造りの脚はめちゃめちゃでかい

プロが付きっきりで面倒を見てくれる焼き

さらにかに酢で味わう茹でた身が一皿

続くは天麩羅。
こちらも目の前で揚げてくれるいわば喜久屋十八番の料理、どれもぐうの音も出ない揚げたての美味さだが、特に味噌の詰まった車海老の頭が印象的だった。
締めは牡蠣のあんかけご飯。
まさにこの時期の旬を存分に活かした和食の極みの一形態とでも言えようか。

揚げたての天麩羅は激美味

これまた贅沢な牡蠣のあんかけご飯

デザートの水菓子のところ、不肖私めの誕生日を祝すケーキを出してくれた。
せっかくなので家族写真をぱちりと撮っていただいたが、空水はケーキに乗っているイチゴが欲しくて終始よだれを垂らしていたとかいないとか。

せっかくなの家族で1枚

食事中、オーナー夫妻と色々なお話をさせていただいたが、なんと女将さんと私の出身小学校&中学校が同じだったというのが一番の驚きだった!
思わず校歌を斉唱する一幕も。
サプライズ次点は、トライアスリートの白戸太朗氏がご主人の中高の同級生だということ。

ルークもやってきた

避けることができない苦境に出会った時、それに抗った挙句に絶望することもあれば、しなやかに受け流し自由な発想で活路を見出すこともある。
伝統が息づく花街から里山の集落に移り、新しい生活を謳歌されているKさん夫妻は、見事に後者の道を歩まれている人生の達人であった。


2024年12月7日(土)

朝は霧が出ていた

誕生日の朝は7時前までゆっくり寝坊。
8時、早くからご主人のKさんが作ってくれていた朝食を頂く。
手前の京丹波や南丹、あるいは通り越して宮津や舞鶴に行く機会はあっても、これまで綾部をちゃんと腰を据えて訪れた記憶はない。
しかしこの旅を通じ、実は食材の宝庫なのだということを知った。
山の幸や野菜が美味いのはもちろんのこと、意外と日本海も近い。
昨夜頂いた松葉蟹も舞鶴港で揚がったものだが、京都市内で店を営んでいた頃とは鮮度がまったく違う次元で手に入る、とKさんも仰っていた。
炊きたての地元の米もとても美味しかったし、写真にはないが自家製の漬物各種も秀逸。

空水の朝食を薪ストーヴの上で温め中

圧倒的な品数の朝食

朴葉の中

左下は塩気が抑えられた自家製カラスミ

空水は寝た

翌日のカレーランチ用のアップルパイとチャイのアイスクリームを出してくれた

エクストラで出してくれた翌日用のアップルパイ&チャイのアイスクリームをコーヒーとともに頂いた後、Kさんのお導きで薪割り体験。
といっても斧でがつんがつんと叩くのではなく、最新鋭のマシンを使っての楽ちん薪割りで一安心。
無心になって肉体を使い労働する時間は、特に都市で暮らす現代人にとって必須ではないかと、楽ちん薪割りをしながらではあるが、改めて感じた。
楽しかった。

便利で安全なマシンを使って薪割り体験

「ちゃんとできたか?」

楽しい時間はあっという間に終わりを迎えるもので、チェックアウトの刻限。
料理、ロケーション、設備、そしてオーナー夫妻のお人柄とおもてなし、すべてにおいて満たされた今回の旅だった。
わんこホスピタリティも相当なもので、犬連れでこれほどのクオリティの食事をゆっくり味わえるところはなかなかないだろう。
次回の泊まりもさることながら、近いうちにぜひ日帰り利用でも再訪したいと思う。
大変お世話になりました!

ルークと交信

ドッグランで遊びに誘うがさすがに無理がある

出立

オーベルジュ喜久屋を後にし、家路に就く前におすすめ散歩コースとして教えていただいた紫水ヶ丘公園に寄ってみた。
高台にあるので由良川に架かる綾部大橋の姿が一望でき、また散った紅葉の絨毯がきれいに広がっていた。
今日も秋晴れ。

由良川に架かる綾部大橋を望む

紅葉の絨毯の上を歩く





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