ミュージカル「フィスト・オブ・ノーススター〜北斗の拳〜」を観劇してきた。
大阪公演の初回。
関係者によると「男性客が意外と多い」ということで、確かにリアルタイムでハマっていた私と同世代のおっさんの姿が散見されるものの、やはり絶対数として若い女性客の方が圧倒的に勝っており、「原作を読み込んでいない人が多かろうが大丈夫か…」と要らぬ心配をしてしまった。

生身の俳優があのコスチュームを纏って真顔でステージに現れるものだから、一歩間違うとコントで、原作愛にかけては人後に落ちぬ自負がある私自身も、冒頭ではもう少しで吹き出してしまうところだったが、芝居が進み、音楽の演奏や歌唱が重ねられるうちに、グイグイと物語に引き込まれていった。
ジャギがいなかったことにされ、その役割がユダ及びウイグルと融合されて新しく創作されたオリジナルキャラクターに置き換えられていたり、同様にシンが拳王の配下に収まりつつ(これは映画版の設定を参考にしたのかも)、乱世の覇者を見極めるというリュウガのタスクを兼務していたり等、原作のエピソード群を上手く圧縮、アレンジしている下りも。
原作に馴染みがない人がどう感じるのかは分からないが、バットがトヨを見送るシーンや、ラオウとトキの兄弟が幼少時の回想を経て臨む最後の戦い(ラオウの「体をいとえよ」の台詞は欲しかった!)、さらにはシンが瀕死になりながらもケンシロウと対峙せんと意地を張る場面(これは原作にないシーンだが)では、期せずして感情が揺さぶられ、不覚にも幾度か目が潤んでしまった。
カーテンコールでは、場内が明転してアナウンスが始まっても鳴り止まない拍手に、今一度キャストたちがステージに出てきてくれたり、ミュージカルってやっぱりいいなあ!
ケンシロウを演じた大貫勇輔さんの身体能力を間近で見ることが私の目当ての1つだったが、正面9列目という素晴らしい席で充分に堪能することができた。
その他の俳優陣のパフォーマンスも素晴らしく、並々ならぬ稽古での鍛錬が窺い知れた。
ただ、私見ながらラオウ役の宮尾俊太郎さんの歌と発声がやや見劣りしていたかも…Wキャストの福井晶一さんの方も観てみたかった。
また、音楽がアメリカ人というのもさることながら、演出と脚本&作詞がともに女性だとは、驚いた! |