MGFからアルファスポーツ156ワゴンへ〜乗り換えの道程
その2「アルファ・ロメオとのファースト・コンタクト」 2004.3.24
そんなこんなで2003年10月、まず足を運んだのが、
会社の先輩に紹介してもらったアルファ・ロメオのディーラーであるアレーゼ。
ちょうど156がニューフェイスにマイナーチェンジをした少し後だ。
コンパクトユースを探していたボクのお目当ては、
アルファ最大のヒットの一つといわれる147で、
まずはセレスピードの2.0ツインスパークを試乗させていただいた。
コンパクト・ハッチバックと呼べるアルファ147 |
セレスピードというトランスミッションは、
かつてフェラーリF355が量産車で初めて装備したセミATを始祖とする、
AT限定免許でも乗れる2ペダルMTである。
その第一印象は「うわ、面白い!」。
巷ではシフトアップ時のタイムラグが気になるとか、
シフトショックが大きいとか言われているが、
確かにシフトショック(特に1速→2速時)は感じるものの、
マニュアル車と同じように、シフトアップする瞬間、
少しアクセルさえ戻してやればそれはほとんど気にならない。
タイムラグの問題もそれによって
あまり気にならないレヴェルにまでは落とし込めると思う。
気になるのはシフトの遅れそのものではなく、
自分の思う通りのタイミングでつながらない、という点。
タウンユースという用途に限って言えば、
恐らくクラッチをつなぐ速さそのものを比べた場合、
人がマニュアルで行うよりもセレスピードが行った方が早いのかも知れない。
だから一般に言われているような「タイムラグが気になる」という悪評は、
それが遅いからではなく、自分のイメージとつながるタイミングが違う
ということに起因しているに他ならないとボクは思う。
それにいわゆる半クラッチ、という操作がないようだから、
渋滞や車庫入れの時とか少し大変そうかも。
シフトの面でもう一つボクが気になったのは、
ステアリング裏のパドルがハンドルと一緒に動いてしまうこと。
何度かパドルを探したけど空しく指は空振りするばかり、ということがあった。
個人的にはパドルスイッチは固定の方が操作しやすいのになあ、と一瞬思ったけど、
スポーティー・ドライヴィングということを考えるとやっぱりステアリングと一体か。
ただ、担当してくれた営業マンも言っていたが、
やはりシフトダウンの時は圧巻だった。
自動的にエンジンの回転数を合わせスムーズにクラッチをつなぐその作業は、
完全に人が行うマニュアル操作を上回っている。
あとはFFにもかかわらず、非常にクイックなハンドリングに驚かされた。
ちょうどディーラーの近くの試乗コースがうってつけのワインディングになっていて、
そこを走っている時に特に強く感じたのだが、
ちょっとステアリングを切るだけで面白いように鼻先をクイクイと曲げていく。
MRであるボクのMGFとまるで変わらない、
ともすれば勝っているかも知れないクイックさだ。
これには本当にビックリしたので、
「ホンマにFFですか!?」と2回ぐらい聞いたような気がする。
147のMTの試乗車はその日ちょうど出払っていたようなので、
続いて何とたまたま置いてあった156GTAの試乗車に乗せてもらった。
左ハンドルのマニュアル車なんて、一緒に仕事をしている後輩のZ3を
ちょろっと運転させてもらったことがあるぐらいでチョイ緊張したが、
実際運転席に座ってみると、アルミ削り出しのペダルの美しさにまず目を奪われた。
そして動き出すと、後席に座っていた妻がウキャーと悲鳴を上げたほどの
その暴力的な加速感。
エンジンフィールとしては特に低中速域のトルクが豊富に感じられ、
普通の街乗りならずっと3速のまま
シフトチェンジすることなく走れるんちゃうかと思うぐらい。
3.2L V6パワーユニットを搭載するアルファ156GTA
お値段もプレミアムです |
この日は以上の2台に試乗させてもらい、
またショールームで色々見させていただいた。
トータルの印象としては、まずやはり走りそのものには非常に魅力を感じた。
少なくとも常用域では十二分に軽快かつジャストなハンドリング、
適度なヴォリュームで高音を奏でるエンジン。
特にGTAのV6ユニットは、下品にならない程度のアグレッシヴな猛り声が心地よい
(車に何の興味も抱かない妻は『うるさい』だって…)。
インテリアに関しても特に不満はない。
とりたててゴージャスというわけではないが、
すっきりシンプルで自己主張を抑えたそのたたずまいがいいカンジだ。
強いていうならば、現行に関してはやはり156の方がやや質感が高く感じられた。
印象の悪かった点は、室内空間が決して広くはないこと。
スタイリングに重きを置いている車なのである程度は仕方がない話だが、
それにしてもボディサイズの割りにやっぱりそのスペースは小さく、
特に後席はお世辞にもゆったり座れるとは言い難い。
まあ大人4人が座る分にはギリギリ合格点はクリアしている、というところだろうか。
ちなみに147と156のプラットフォームは共通なので、
室内の広さにあまり差はなかった。
また、足回りは思ったよりもソフトで(147)、
ワインディングのコーナーごとにいかにも欧州車っぽく
程よく滑らかにロールしていたが、個人的にはもう少し硬い方が好みだ。
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