海洋空間佳本


少女外道 少女外道」★★★★☆
皆川博子
文藝春秋

2010.7.19 記
相変わらず、という言葉はどちらにも受け取れる表現ではあるが、ここには相変わらず読者が期待通りに耽溺できる皆川博子の世界が広がっていた。
ヴァリエーションという要素に限れば、「」なども含めたとして、決して多いわけではない。
しかしそれらの作品群は、あえて同時代の、近似な舞台に置かれているからこそ、ある種薬物的な中毒性を読む者に植え付けていくような、そんな背徳的な美しさを備えている。

余談だが単行本に収録されている作品の並び順がまた完璧で、その幻惑ぶりは書の終わりに近づくにつれて確実に回転数が増してくる。
特に最後の2篇「アンティゴネ」と「祝祭」には、これで締め括るより他にないという感覚を覚えた。
日本語の持つポテンシャルは余すところなくすべてこの中に示されている。





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