最後のミシェルの“警句”と、そこから一連の結末にやれらた。
序盤はまるでシャーロック・ホームズ、あるいは京極堂シリーズかと思うような、いわゆる完全無欠な名探偵とちょっと抜けた相棒の捜査譚らしき流れ。
いや、京極堂シリーズならばミシェルはまるきり榎木津だな。
“カルチェ・ラタン”の空気感も、「王妃の離婚」を読んでいると、なかなか趣深いものがあるし、はたまた「傭兵ピエール」を先に読んでいれば、“ドゥ・ラ・フルト”の名前にもニヤッとしてしまう。
中盤から後半にかけて、話は拡散していくが、ディテールの説明や伏線の回収には少し不満がある。
肝心の神学問答についてもちょっと浅い、いずれにせよ説得力が不足している部分があるのは否定できないと思うが、佐藤賢一氏の手練の筆力によって先を急がされてしまうのもまた事実。
作品としては、著者の力量も併せて鑑みるに、悪くはないんだけどちょっとまとまりに欠けるかなあ、と思いつつ読了しようとしたところで、ラストの結び方に感動して、星4つ。 |