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「ピカルディの薔薇」★★★★☆
津原泰水
筑摩書房
2016.12.27 記 |
「蘆屋家の崩壊」同様、猿渡と伯爵のコンビが各話で縦横に活躍するものかと思いきや、それとはまた異なる趣きを持つ纏まりに仕上げられている。 例えば皆川博子氏が書く傑作群と比べてもまったく引けを取らない幻想小品、都筑道夫氏の物すホラーを彷彿させるかのような怪奇譚等、津原泰水氏の"そっち側"の才気がどの作品からも立ち上っている。
表題作を読んでいたら、「奈々緋紗緒のCDが云々」なんて件が出てきて、おおなんだこれは、と一人驚いていたら、なるほど、そもそもが「虚無への供物」へのオマージュとして著された作品だったんだな、これは。 |
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