海洋空間佳本


ノモレ ノモレ」★★★★☆
国分拓
新潮社

2018.9.24 記
NHKスペシャルの「大アマゾン 最後の秘境」第2集「ガリンペイロ 黄金を求める男たち」を観てぶったまげ、エンドロールを目にし「あの『ヤノマミ』の国分拓氏か〜…」と妙に納得したのが2年と少し前。
同じく国分ディレクターによるシリーズ第4集「最後のイゾラド 森の果て 未知の人々」ももちろんすごかったが、その書籍版である。
読み進んでいくと、ああこの場面か、と2年前に視聴した番組の内容及び、そこに満ちていた得も言われぬ緊張感が鮮明に思い出される。
ただ放送時には確か本書のタイトルにもなっている"ノモレ"にまつわるエピソードは省かれていたように記憶している。
ある意味、情緒的とも言える"ノモレ"というストーリーを盛り込むことによって、一冊の文芸作品としての完成度は高まっているように思う。
が、章間に詩的なブロックを挟むなどといった技巧が凝らされていることに関しては、個人的にはあまり賛成ではないかな…、ド直球の描写でも充分読み応えとインパクトのある内容だけに。

ひょっとしたら遠くない先祖が同一かもしれず、ある程度言語も通じる相手でありながら、本当の意味での意思の疎通を図るということがこれほど至難なものなのか、ということに驚きを新たにした。





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