|
|
「黒部の山賊」★★★★☆
伊藤正一
山と渓谷社
2016.11.25 記 |
これは特に登山を趣味とするような人でなくても、充分読んで楽しめる作品だ。
「高熱隧道」や「黒部の太陽」で描かれているように、厳しい自然環境に囲まれている黒部源流地域における山男たちの暮らしぶりが、素朴な飾らない文章で綴られている。
時代も昭和20〜30年代が中心と、まさに前記2作品と前後して重なる。
あくまでサラリとした口調で書き記されてはいるが、現代よりも遥かに衣食住の環境が整っていない当時に、これほどタフなサヴァイヴァルをしていた著者や山賊たちの屈強さたるや、それだけでも充分憧憬の対象になり得る。
物の怪だってそりゃ出ることだろう。
嗚呼、早く私も北アルプスへ行かなくては。 |
|
|