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「褐色の文豪」★★★★☆
佐藤賢一
文藝春秋
2012.9.13 記 |
いつものように安定した佐藤節が聞こえてくるようで、題材の間違いのなさも相まって、心安く物語内の世界に身を沈めることができる。
ただこの人の作品にまま見受けられるのだが、例えば終盤、主人公のアレクサンドル・デュマ・ペールの人生のクライマックスが過ぎ、まさに晩年に入るのと呼応するように、物語の勢いも同時に衰えていくように感じられる。
前作「黒い悪魔」もそうだった。
実在の人物をモデルにしている小説としては、それもまたリアルでいいのかもしれないけど。 |
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