ヒマラヤ、デンマーク、そして南アフリカで進行していくそれぞれの事件が、やがて1つの落としどころに向かって収斂していく様は実にダイナミックで、清々しい気分になるぐらい上手くまとめられている。
シリーズ第2作にしてすでに、シグマフォースというチームの持つ魅力が存分に描かれており、また肝心のストーリーについても、前作より完成度は高いと感じた。
特に第1作の「マギの聖骨」は、キリスト教的素養を下地として持たない大多数の日本人にとっては少し難解な部分もあったが、今作はナチスに関する最低限の知識があれば十二分に理解可能なプロットとなっているので、そういった意味でも味わいやすい。
物語のヤマ場で量子論を恋愛感情に転化してしまっているある種のご都合主義だけはちょっと…と正直思わないでもないが、辻褄合わせを含めたディテールの技術も確かで、高レヴェルのエンターテインメントに仕上がっている。 |