グッと掴んで離さないこの握力はすごい。
この後に発表される「クラインの壺」や、井上夢人名義の作品群にも見られる、当時の最先端技術をさらに一歩進ませたような近未来的コンピュータテクニックが作中通して織り込まれ、確かにこれがすべて上手くいくわけないやろというご都合主義に包まれているとはいえ、これだけの筆力で描き切ってしまわれれば、的外れなクレームは無粋に過ぎる。
ただちょっとだけ長いかも、と感じた。
山形支社に辿り着くあたりまでは高い緊張感を読むこちらも保ったまま、スリリングな展開に浸ることができたが、それぐらいから徐々にテンションが下がり始めてしまったような気がする。
スキーパートの構成が甘い、というわけではなく、単純に物理量の問題であるように思う。 |