第2日
2015年7月13日(月) 「ホームランダービーを観る」 2015.8.30 公開
夜中に3度ほど目が覚めた。
7時起床。
朝食は1F、フロントの向かいにあるスペースだが、元々小さなホテルなので狭く、
またコンチネンタルブレックファストと銘打ってはいても、おそらくちゃんとした厨房も備えていないはずなので、
パン、卵、ハム、ヨーグルトなど、種類は限られている。
ワッフルマシーンがあったのはよかったけど。
朝食スペースは狭く、品揃えもごく限られている
そして改めて集う人々を見ると、皆やはり一様に規格外のデカさだ。
身長はともかく、体積的に私より小さい成人男性はほぼ皆無。
シンシナティは特にアメリカでも田舎町の方だと思うので、その分巨体の人々が多いような気がする。
天気は曇り。
さすが2つ星ホテル、タクシーに乗りたいんだけど、と言ったら、自分で呼べ、
とタクシードライヴァーの名刺を渡されたので、仕方なく電話して拙い英語で手配する。
9:30、指定時間にやってきた上等なタクシーに乗り、シンシナティミュージアムセンターに行ってみた。
ダウンタウンの少し手前にあり、15~20分ほどで到着した。
ここはかつて駅舎として使われていたユニオン駅の建物をそのまま流用して、
自然史博物館、歴史博物館、オムニマックスシアターなどが入った複合博物館施設である。
まず建物に入ると、巨大なドーム天井に圧倒される。
非常に重厚な雰囲気に満ちた、アールデコ調の建造物だ。
ミュージアムセンターもオールスターゲームの装い
巨大な駅舎を改装した博物館の大ホール
10時オープンだったので、少しだけホールの中で過ごし、自然史博物館、歴史博物館と回って観てみた。
一見、小ぢんまりしているように感じたが、いざ一通り歩くと、思った以上にスケールは大きい。
マストドンやケイヴ、コウモリのショーに、シンシナティ市街の模型などが印象に残った。
自然史博物館のシンボル的存在とも言える、マストドン
洞窟を模した展示
アーマードフィッシュの頭部
昔のシンシナティ市街の模型 とても精緻だった
戦争にまつわる展示コーナーも
見学後、ホールのフードコートで昼食。
メインをオーダーした後、「サイズ?」と訊かれるので、てっきり大きさのことだと思って答えていたら、店員は不思議な顔をする。
そうか、sizeではなくsidesね!
付け合わせを何にするか決めるのが一般的なよう。
フードコートで昼食
ここから街へ行くにはバスしかなさそうで時間も読めなかったため、
信用に足りそうだった朝のタクシーを再び呼んで、ダウンタウンへと移動する。
市街へは10分も掛からずに到着した。
デュークエナジーコンヴェンションセンターで開かれているオールスターゲームのプレイヴェント、
ファンフェストに参加すべくやってきたのだが、ちょうどコンヴェンションセンターまであと1ブロックというところで、
日本でいうところのゲリラ豪雨がすごい勢いで降り出した。
タクシーを降り、向かいにあるミレニアムホテルに避難して、ロビーで雨宿り。
居合わせたおじいちゃん2人組が親切にいろいろと話しかけてくれ、野球の話題やらシンシナティのお勧めレストランのこととか。
ファンフェスト会場のすぐ手前でゲリラ豪雨に見舞われた
14時前、雨の勢いもだいぶ弱まったので、フェンフェストが行われているコンヴェンションセンターへと進入した。
この雰囲気に触れると、少々時差ボケだろうが疲れていようが、やっぱり否応なくテンションは上がる。
ビッグイヴェントにふさわしいお祭り騒ぎ感が、街中に溢れている様子もビンビン伝わってくる。
ちょうどイヴェントホールに入った時、ヴラディミル・ゲレーロが写真撮影に応じていた。
ファンフェスト会場のコンヴェンションセンターに入る
ヴラディミル・ゲレーロがいた
いろいろなエキシビジョンを見たり、ショップを覗いたり、会場内をグルリ歩くが、3フロアに渡るファンフェストはやはりデカい。
子供が参加できるホームランダービーや盗塁を模したイヴェントもあった。
そしてやはりシンシナティ、客たちのシャツを始めとして、あたりはもう赤一色だ。
17時頃まで会場で過ごし、たっぷり空気を味わった。
とにかく会場は広い
子供たちのホームランダービー
子供たちの盗塁イヴェント
すっかり雨も上がり、シンシナティ・レッズの本拠地であるグレイトアメリカンボールパークへ、プラプラと歩いて向かう。
本戦前夜のこの晩は、ホームランダービーを観戦するのだ。
ダウンタウンの中心部ももちろん、オールスターゲーム一色に染まっている。
それに関連したイヴェントもそこかしこで行われているようだ。
シンシナティに本社を置くP&Gも音楽イヴェントを開いていた
ビルとビルとつなぐスカイウォークにもオールスターゲームのデコレーション
グレイトアメリカンボールパークに到着 飛行船も飛んでいる
人波に混じって15分ほど歩いただろうか、球場へ到着。
まずは球場内を少し歩いて偵察してみてから、スモークフードの店をチョイスして、ターキーレッグとサンドウィッチを買い、腹ごしらえ。
これまた当然、メチャメチャデカい。
特にターキーレッグは、これ何人で喰うねん、という巨大な肉塊がポンと出てきて、いやあ参った。
店の外で、ライト側の場外すぐを流れるオハイオ川を眺めながら喰うボールパークフードは、しかし最高だ。
オハイオ川が見えるスモークフードの店先で
ターキーレッグとサンドウィッチ 付け合わせもデカい
座席はバックネット裏の中ほど、素晴らしい位置だ。
結構なカテゴリーの席のようで、このエリアに入るには毎回チケットの提示が必要だし、革張りの椅子も大きくてゆったりしている。
そしてウェイターサーヴィスまであり、売り子さんたちを捕まえてメニューにある品をオーダーすると、席まで持ってきてくれる。
しばし練習を見学する。
座席からの眺め
打撃練習もよく見える
出場8選手が紹介された
19:30、イヴェントが始まった。
なんと始球式はケン・グリフィー親子。
息子が投げ、父が受ける。
これは盛り上がった。
ケン・グリフィー親子の始球式
諸々のセレモニーも終わり、20時過ぎ、いよいよホームランダービーの開始だ。
ルールが今年から変わったようで、4分の持ち時間内に何本打てるか、という時間制になった。
そして425フィート以上のホームランを2本以上打てば、30秒のエクストラタイムが得られる。
ホームランダービーのトーナメント組み合わせ
アンソニー・リゾのバッティングから幕を開ける
ファーストラウンドの1試合目はアンソニー・リゾとジョシュ・ドナルドソンの対戦。
後攻のドナルドソンが勝ち越し弾を放って勝ちを決めたが、8-9とスコア的にはイマイチ。
続く第2試合、先に登場したプリンス・フィルダーが13本を放ち、好調の今シーズンを裏付けるパワーを見せつけるが、
続いて打席に立った対戦相手のトッド・フレイジャーは地元・シンシナティのプレイヤー。
言わずもがなの大拍手に迎えられたフレイジャーは見事にフィルダーを上回る14本をカッ飛ばし、
いきなり球場は割れんばかりの大歓声に包まれた。
1回戦から球場は大盛り上がり
続いて、マニー・マチャドvsジョク・ペダーソン、クリス・ブライアントvsアルバート・プーホールズと行われたが、
いずれも後攻の選手が勝ちを収める。
アメリカ白人社会を代表する、典型的な"ジョック"だなあ、と私が勝手に思っているブライアントは、
期待外れの9本と寂しい結果に終わった。
ジャンカルロ・スタントンは怪我をしたので仕方なかったが、今年はブライス・ハーパーにもぜひ出てほしかった。
若干期待外れだったクリス・ブライアント
合間合間には、予選を勝ち抜いたらしい高校生プレイヤーも2人出てきて、見事なアーチを見せてくれた。
さすがアメリカ人、高校生といえどサイズもパワーもすごい。
セカンドラウンドも、地元のフレイジャーがドナルドソンを下して勝ち進み、場内はさらに盛り上がる。
プーホールズは惜しくもペダーソンに負けてしまったが、
プーホールズの名前がアナウンスされるたびに客席からは大きなブーイングが巻き起こる。
これは、彼がかつて、シンシナティ・レッズと同地区のライヴァル球団であるセントルイス・カーディナルスに所属していたからだろうが、
ロサンジェルス・エンジェルスに移籍してすでに4シーズン目を迎えている。
まったくシンシナティのファンは執念深い、と見なすことができるが、それと同時に、
あの頃のプーホールズがいかに超人的な打力で他を圧倒していたか、
まさに対戦相手からすれば悪魔のようなバッターだった、ということを示す好例とも言える。
ちなみに、私の前にはエンジェルスのスタープレイヤーであるマイク・トラウトのTシャツを着た親子が座っていたが、
彼らの心境は複雑だったろう…。
ツルツル頭を隠さず奮闘したアルバート・プーホールズ
ペダーソンとフレイジャーという、私見では地味な顔合わせとなった決勝だが、
なんと30秒のエクストララウンドで後攻のフレイジャーが劇的なサヨナラ勝ちを収め、
グレイトアメリカンボールパークはここにきて最高潮の盛り上がりを見せ、揺れた。
まさしく野球は筋書きのないドラマだ。
見事に地元、シンシナティのトッド・フレイジャーが優勝した
グレイトアメリカンボールパークは大喜び
球場内でド派手な花火も上がる
ホームランダービーということで早めに終わるのかな、と思いきや、勝負がついたのは22:30過ぎ。
下手したらゲーム1試合より長かった。
一大イヴェントということで、セレモニーも多かったし。
まだ花火は続いていた
球場を後にし、当然タクシーもほぼ引き払っていて見当たらないが、近くのヒルトンホテルでドアマンを捕まえ、
お願いしたら快くタクシーを早業で拾ってくれた。
さすが2つ星とは対応が違うわ。
ドライヴァーはとてもよくしゃべる黒人のおばちゃんで、何を言っているのかほとんど聞き取れなかったが、
フレイジャーの優勝で街中盛り上がり、彼女のお母さんも大騒ぎだった、ということは分かった。
ちょうどタクシーに乗って走り出した頃、ポツポツと雨が落ちてきて、すぐに本降りに。
私にしては珍しいぐらいラッキーだった。
ホテルに着いたのは23:30過ぎ、所要時間は約20分、$25ぐらいだった。
風呂入って25時過ぎ就寝、疲れた。
そういえば、どうやらオハイオ川を挟んでオハイオとケンタッキーと州が変わるようだ、とこの日移動していて知った。
シンシナティ市街がある北側がオハイオ州で、ホテルがある川より南がケンタッキー州。
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