海洋空間女であり過ぎた女の日常



第24回 サクラサク   2004.3.23



2月、それは受験の季節
うちのアヤちゃん(中3)も高校受験の真っ只中の時には、
フリース素材の牛の着ぐるみを着こんで夜中までウロウロしていた。
そう。
勉強するわけでなく、ただウロウロ。
牛が家の中にウロウロ。

おまえ、大丈夫か?

と、オイラばかりじゃなく親戚一同も心配するほど、ただウロウロ。

反抗期と受験のストレス、つまり勉強しても分からないためのイライラ。
ユリ(高1)にこれまでの1年間は、
バイトしないでアヤの勉強と家事のフォローをお願いしていたが、
ユリ曰く教えても分からない。
ユリにも分からないことを何回も聞く。
だからして、終いにゃ口も利きたくない。

「ねぇ〜おしえて〜〜っ☆」甘えた口調でいくらアヤがねだっても
「だ〜から、ユリにもわからないっつてんだろっ!自分で勉強しろよ!」
「だって、わからないもん(泣)」
「はっ?ユリもわからないよ」
「お姉ちゃん頭いいじゃん。なんで教えてくれないんだよ。
 ケチ、ケチ、ケチ、ケチ。死ね!」

「それが人にものを頼む態度なのかよ!もう絶対一生教えないっ!」

親の教育が悪いのが聞いてて分かるくらいに悪い言葉の応酬…。
この辺でアヤが泣き出す。
「ママ〜、アイツひどい!」と。

「教えてあげてよ」とオイラ。
「だって、態度が悪いんだよコイツ!
 ユリだってわからんって言ってんのにシツコイし、
 だいたいすぐ人に聞いて自分で調べようとしないじゃん!
 何度も何度も同じ事聞くし。
 聞かれてもわからないって言ったら逆切れするし!
 教えてもらう側なら、お願いしますって頼むんでしょ、普通はさぁ!!」


この場に従弟あの怖い従弟)が遊びに来ていたのだが、オイラと2人同時に

「お願いします!」

とユリに頭を下げちまった。

「はぁ?アヤが頼まないと意味が違うじゃん!
 そうやってアヤに甘いし2人とも!!!」


ユリは怒って自室に引きこもる。。。
アヤは意地になって分からん勉強を分からないいまま続ける←これって、ヤバイんじゃ…。
しかも、鬼の形相だぞ。
怖いぞ。

イライラなアヤが学校から家に帰ってくると
「おかえり(^ ^)」と私。
「□☆♪★○」と聞き取れない、低い、ひく〜いお経を唱えているような声で答える。
一事が万事、もう態度が悪い悪い。
こちらも休職→退職
そう、無職!
となってもお仕事探しの許可がお医者から頂けなくてどんよりしているこの折に、
あやの「□☆♪★○」な受け答えや「◎〇#□☆♪★○」な態度が
(具体的に書くと、オイラの中にある原子炉の温度が再び臨界点まで一気に駆け上がる)
シャイでピュアな私の心に刺さる刺さる。
その結果は

「なんなの、その態度わ!」
「なんだってんだよ!この態度ってどの態度だっつんだよ!」
(↑あぁ、言葉が悪いなぁ。親のしつけがなってないな…)

という、本当に次元の低い親子ケンカが始まるのでした。
そのケンカの緊張感が最高潮に達した時、
具体的に書くと、売ったつもりもないケンカがとてもとてもいい値段で買われ続け、
『家が1軒買えるくらい』に達した時

アヤちゃん、両腕大車輪にして振り回す!
おい、そんなのマンガでしか見たこたないぞ。
それでこっちに向かってくるからたまらない。
ママ、防御のため腕を伸ばした。

あ、しまった。
偶然にもアゴにヒットしちまった!

「痛いじゃん。ばかぁ」とピーピー泣き出すあやちゃん。
ごめんごめん、悪かったよ。
ホントに悪かったから痛いところを見せてちょうだいと言いながら顔を覗き込もうとしたら
「触らないで!」と大声上げてまた腕を振り回す。

ごめんね。
でも、私も痛いよ
なんか、どこと言えないけどすごく痛いよ。
オイラも自室に引きこもって、泣く

そんなサイテーな痛い夜がポツポツと増えそうで、どうしたらいいんじゃ!?
と悶々としていた。

そして受験の面接。

なんと、この面接だけで受かったのでした。
なんでだ?
疑問に思うくらい勉強してなかったのに…。
大丈夫か?その高校。
後悔しないのか?
いや、親としては、とてもとても、ありがたく、安心したのですが。

「やっぱり、このワタクシの人間性を見て合格!と決めたのでしょうね〜」
とのたまう次女。
すごいな、そのセリフ。
親戚一同もビックリして
「えっ?ホントに合格したの!?」
という言葉の後にやっと
「おめでとう!」
そう、皆が皆不合格の覚悟を決めていたらしいのだ。
それはともかく、良かった。もう、痛い夜とはおさらばだ☆
もう、今夜から親子仲良くニコニコと過ごせる(^ ^)

それが幻想だと思い知らされるまで、なんて短かったことか…。

思春期・反抗期は受験と共に去るのではない。
風が吹いても去ってはくれない。
レット・バトラーは去っていったがな。

開放感に浸るアヤは、本日も制服のまま、だらしなく寝ているのでした。
パンツを見せながら…。
本当に、親の教育が…。

注意をすると怒るので、仕方なく写真を撮って壁に貼ってやろうか?
そしたら、いくらなんでも「あ〜だらしねぇ〜」って自覚しないかなと考えている。

そして3月、卒業式。

 今はまだ、満月を抱いていたい。
 いつか、太陽と向き合って笑える日が来るまでは…。


なぁ〜んてシリアスな言葉をほざいていた式の次の日に髪を茶色に脱色し、
斑に染まったといってプリプリしながらご飯を作り、
それが終わるとパンツを見せながらその辺に転がって眠っている(パンツは隠そうよ)。

ま、とにかく、サクラが咲いたよ。良かったよ(^‐^)






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