スペシャルコラム
vol.3 2006 FIBA バスケットボール世界選手権 決勝戦&7位-8位決定戦観戦記 2006.11.13
去る9月3日(日)、11:45神戸発のスカイマークに妻と乗って羽田へ。
この日、さいたまスーパーアリーナで行われる
「2006 FIBA バスケットボール世界選手権」の決勝(&7-8位決定戦)を観戦するのだ。
この2週間前に札幌に1人飛び、
グループゲームラウンドで今回のチームUSAを観ていたのでまだよかったが、
何よりも楽しみにしていた、決勝戦を戦うアメリカ、
が観られなくて残念といえばやはり残念。 特に今回は妻も同行するのだが、彼女はもともとスポーツに対して興味があまりない。
それでもNBAに関してだけは、
いつも試合の映像を観たり雑誌を眺めつつ隣で騒いでいる僕の影響で、
シャックやコービやアイヴァーソン、レブロン、ウェイドはもちろん、
カーター、T-Mac、KGにキッドにナッシュにノヴィツキー、
果てはアマレやキリレンコやJ-Willぐらいまでなら覚えるようになったので、
このたびの観戦に際しても、
「レブロンとかメロとかウェイドが観れるんだよねー、コービは辞退したの? 残念」
なんてコメントはしていただけに、
NBAのトッププレイヤーたちから選抜されたUSAが決勝に出てこないのは
ちょっとかわいそうでもある。
スペインはパウ・ガソルがケガで欠場とのことだし、
先に行われる7-8位決定戦にドイツが出場し、
ダーク・ノヴィツキーが観れることがまだ妻にとっては救いか。
羽田空港のマーケットプレイスで昼から焼肉を喰い、
15:30頃、さいたま新都心駅に到着した。
このアリーナに来るのは2003年のNBA JAPAN GAMESの時以来3年ぶりか。
さいたま新都心駅に降り立つ
駅からアリーナに向かって歩いていくと、
ちょっとしたイヴェント広場で元全日本プレイヤー、
岡山恭崇さんのトークショーが行われていた。
久々に生岡山さんを見たが(以前、
マジック・ジョンソンズ・オールスターズの試合を取材しに行った時に会場で遭遇し、
ここぞとばかりに名刺交換をしてもらったことがある)、
やはりありえないぐらいに大きい。
約230cm。
ショーの最後には質問タイムもあったので、挙手して1つ質問もしてしまった。
最後は、岡山さん自ら聴衆に「横に並びたい人がいたらどうぞ。
一緒に写真撮りましょう」と呼び掛けてくれ、
155cmの我が妻もステージに上がったら、目線が彼のヘソぐらいだったそうだ。
約230cm、巨人 岡山恭崇さんを囲んで
さすがに国内最高峰のアリーナ、チケットが完売しているこの日も人手はすごい。
グループゲームラウンドとはまったく異なるスケールと空気にテンションも自然と上がる。
今日の2試合に出場する各国のコスチュームに身を包んだ応援団の姿も目立つ。
16:15、席に到着。
札幌の試合のチケットを譲ってくれた会社の先輩も
この会場に来ているということで電話連絡をとってみたところ、
案外近くてお互いに立ち上がって所在確認をすることができた。
会場内に入り、席に着いた
16:30、7-8位決定戦のドイツvsリトアニアが始まった。
ゲームは序盤からお互いのシュートがテンポよく決まり、スピーディーに展開。
ドイツはガードの10番のデモンド・グレーネと
11番のパスカル・ロラーの動きのよさが目立ち、
5番 アデモラ・オクラヤのパワープレイも有効のよう。
対するリトアニアはアルヴィダス・マシャウスカスがいいプレイを連発している。
準々決勝では確か絶不調だった彼だが、この日はすこぶる調子がいいみたいだ。
8番のジエドリウス・グスタスと15番のロベルタス・ヤヴトカスもいい。
最初こそドイツも軽快に点を重ねていたが、
第1クォーターの途中からリトアニアが攻守ともに支配を強め始め、
徐々に点差は広がる。
序盤から好調なマシャウスカスは本当に動きがよく、
得点だけでなくスティールやパスなどでも八面六臂の活躍。
また、7番のダリュス・ラヴリノヴィッチと
ダリウス・ソンガイラも得点を着実に重ねている。
特にD.ラヴリノヴィッチの決定力はすさまじい。
ドイツは大黒柱のノヴィツキーのシュートタッチが定まらず、
なかなか差を詰められない。
NBAプレイオフの激闘から休みなく今回のナショナルチームに参加し、
疲労が溜まっているのかもしれないな…。
47-41とリトアニア6点リードで始まった後半。
ハーフタイムを経てリフレッシュしたのか、ドイツが一気の猛追。
第3クォーター途中には、
外が不調なノヴィツキーの豪快なダンクでついに同点に追いついた。
そこからしばらくは一進一退の接戦が続いたが、
地道なディフェンス等で確実にドイツを凌駕していたリトアニアが
やはり少しずつ差を広げ始める。
ドイツは頼みのノヴィツキーのスリーが決まらず、
また本当につまらないパスミスやターンオーヴァーを連発。
リトアニアは引き続きマシャウスカス、D.ラヴリノヴィッチ、ソンガイラ、
そしてリナス・クレイザが高いパフォーマンスを発揮し、
働くべき人が働いているカンジ。
特にD.ラヴリノヴィッチは本当に1試合通して素晴らしく、
終わってみればFG 7/8決めて18得点。
対するドイツは全体のFG%が36.4%、
ターンオーヴァーもリトアニアより8多い25と、これでは勝てまい。
結果は77-62で、リトアニアの勝利。
リトアニア勝利に沸き返る応援団
決勝戦までのインターヴァルが1時間ほどあるので、
一旦アリーナを出て隣接するレストラン街へ。
さすがに客が各店に殺到しており、
ちょっと並んだが無事に腹ごしらえを済ませて時間前に戻ることができた。
余談ながら、アリーナに戻る時に
私服に着替えたドイツ代表の5番 オクラヤと11番のグレーネとすれ違った。
あまりに突然だったので呆然と振り返るのみ。
19:30、いよいよスペインvsギリシャの決勝が始まる。
さすがに場内は満員、盛り上がっている。
左足の甲を骨折してしまったスペインのエース、
ガソル兄は上だけユニフォームを着ているが、ジーンズを履いてベンチに。
決勝戦のティップオフ
さすがの世界選手権ファイナル、
NBAのプレイオフもかくや、というすさまじいディフェンス!
10人のプレイヤーのものすごい集中力がスタンドS席まで伝わってくる!
なんと試合開始から2分近く両チーム無得点、
最初のポイントはスペインの9番 フェリペ・レジェスのダンクという
ドラマチックな滑り出しだった。
その直後、
今度はギリシャの9番 アントニオス・フォツィスが入れ返してすぐさま同点に。
開始当初はお互いにタイトなディフェンスが奏功していたが、
先にギリシャがリズムを乱す。
エースが欠けたことによって危惧されていたスペインの方が、
オフェンス、ディフェンスともに面白いぐらいに機能している。
特にオフェンスでは7番のファン・カルロス・ナヴァーロと
8番のホセ・マヌエル・カルデロンのガード陣が縦横無尽にかき回し、
内外ともに高い確率で決めている。
ギリシャは大型PGのテオドロス・パパルーカスが不発、
他のプレイヤーたちにも、準決勝でアメリカを破った時の姿はまったく見られない。
ちなみにプロレスラーのようなその体躯と、
ギリシャ人にしては珍しい黒人という風貌で一躍人気者となった
センターのソフォクリス・スコーツァニティスが出てきた時は
場内から大きな歓声が沸き、結構な人気者であった。
第2クォーターに入ってもスペインの勢いはまったく衰えず、
中でもすごかったのはセンターかと思ったらフォワードだった
15番のホルヘ・ガルバホサ。
あのサイズでスリーをポンポン決める。
特にこのクォーターでは確か3連発もあり、いっそうチームを勢いづかせた感がある。
ギリシャのパパルーカスもようやくスリーを1本決め、
またスティールからダンクを決めてチームを鼓舞するが、差は縮まらない。
とりわけアウトサイドが不調だった、ギリシャは。
スペインはエース不在で逆に燃えたのだろうか、
皆闘志を前面に出し、いいプレイを連発している。
間違いなく世界トップレヴェルのガードであるという事実を証明したナヴァーロ、
そして試合最初の得点となるダンクをブチかましたレジェスもいい働きをしている。
前半終了時点で43-23と、ダブルスコアに近い数字でスペインがリード。
こうなると第3クォーターで少なくとも1桁点差にはしておかなければギリシャは苦しい。
幸い、というか、スペインのショットが後半に入ってちょっと精度を落とし始め、
スコアが停滞気味になるが、
水モノのオフェンスと違ってスランプのないディフェンスは相変わらずきつく堅く、
なかなか中に入ることはできない。
イージーなショットもいくつかあったんだけど、
焦っているのかそれも落としてしまうギリシャであった。
そしてここぞというところで効率的にスリーを決めて突き放すスペインのガルバホサ!
まさにIn The Zone。
ナヴァーロも素晴らしい活躍を継続している。
ちなみに人気者のギリシャのスコーツァニティスは
出てくるたびにファウルをしてすぐにベンチに引っ込んでしまっていた。
点差の詰まらぬまま試合は第4クォーターへ。
通常このぐらいの点差がこの時間帯であれば、
リードしている方は若干流し気味にもなるものだが、
そこはチャンピオンシップの決勝なのでそんなこともまったくなく、
勝利に向かって邁進する手負いの獣、スペインの勢いは留まるところを知らない。
特に再三名前を挙げているが、ナヴァーロとガルバホサは実にすごい。
もうその一言。
すでに勝機をほぼ失ったギリシャは中も外も、そしてフリースローも入らない。
これが本当にUSAを破ったチームか? と瞠目するほどの体たらく…。
試合終了、喜ぶスペインチームと肩を落とすギリシャチーム
試合は70-47という大差でタイムアップ、スペインの優勝が決まった。
決勝らしからぬ思わぬワンサイドゲームに、
試合そのものを楽しむ妙味は薄れてしまったが、
この瞬間に訪れる興奮を現場で共有できるという幸福はしかと享受した。
無念の欠場を強いられたものの大会MVPを獲得したパウ・ガソルもうれしそうだ。
ふと「NBAの開幕には間に合わないんだろうな…」と心配してしまったが…。
閉会式後、ド派手な銀打ちが放たれた
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