海洋空間 NBA
スーパープレイヤー列伝


Player File No.2     2003.3.10 (2006.2.4 データ更新)



コービ・ブライアント Kobe Bryant コービ・ブライアント

ガード
198cm 100kg
1978年8月23日生
1996ドラフト1巡目13位指名
所属チーム:ロサンジェルス・レイカーズ
出身校:ロウワー・メリオン高
主なタイトル:オールNBA1stチーム3回
        NBAチャンピオンシップ3回
        2002オールスターMVP
        1997スラムダンク・チャンピオン
        1試合81得点(NBA歴代2位)
          …など



マイケル・ジョーダンの最初の引退以来、
ネクスト・ジョーダンは誰だ”的な議論がたびたび巻き起こっていたが、
2003年現時点で、その実力、プレイスタイル、精神性も含めて、
最もジョーダンに近い男と言えるプレイヤー。

元NBAプレイヤーを父に持ち、
1996年、ドラフト1巡目13位でシャーロット・ホーネッツに指名されたコービ・ブライアントは
(シーズン開幕前にヴラデ・ディヴァッツ*1とのトレードでロサンジェルス・レイカーズへ)、
NBAでは数少ない高卒プレイヤー
その当時はカレッジ、すなわちNCAAを経てNBA入りというのが一般的なルートで、
高校から直接NBA入りするプレイヤーはごく稀な存在でしかなかった。
ここ数年、高卒のプレイヤーは激増しつつあるが、
それはコービやケヴィン・ガーネット*2らのNBAでの成功によるところが非常に大きい。

ルーキーイヤーこそプレイングタイムに恵まれず、数字的にはイマイチだったものの、
オールスター・サタデーに行われたダンク・コンテストでは見事に優勝
その身体能力の高さを証明した。
2年目以降はその潜在していたスキルが頭角を現し始め、19歳のこの年、
史上最も若いオールスター・プレイヤーに選ばれるという栄誉に浴する。
さらに、コービがプロ入りした年にオーランド・マジックからレイカーズに移籍してきた
NBA現役最強センター、シャキール・オニールというチームメイト、
そしてシカゴ・ブルズをマイケル・ジョーダンとともに二度の3連覇に導いた
フィル・ジャクソンという名ヘッドコーチにも恵まれ、
プロ入り4年目の1999〜2000シーズンからチームはNBA3連覇中
まさにシンデレラ・ストーリーの途上にあるプレイヤーと言える。

彼の武器は、まずは先述の通り、恵まれた運動能力
ジャンプ力、クイックネス、走力にあふれ、また年を重ねるごとにビルドアップの成果か、
筋肉の鎧もどんどん大きくなってきているので、
当たり負けしないパワーを身に着けているとともに、
空中でもめったなことではその姿勢を崩さない抜群のボディバランスを誇る。
外角のシュート力も年々信頼度が高まってきているし、
アリウープ*3などしばしば見せるアクロバティックなプレイに表れているように、
クリエイティヴィティにもあふれている。
中でも何より突出しているのは彼のメンタリティ精神力の部分だ。

マイケル・ジョーダンの項(第1回)でも書いたように、ここぞという時に必ず決めてくれるのが、
チームのエースたる条件。
その条件をすでにコービは充分過ぎるほどに満たしているのだ。

もつれた試合の終盤、難しいフェイドアウェイシュート*4を華麗に沈め、
大歓声に包まれるアリーナの中、
険しい顔でガッツポーズをしているコービ・ブライアントを目にするたび、
まさに全盛期のマイケル・ジョーダンの姿がダブって見える。
最近は、そのプレイ、表情、仕草があまりになソックリので、
思わずドキッとしてしまうこともあるぐらい。

そんなコービももちろん、決してパーフェクトなプレイヤーではなく、時に自らの能力を過信し、
独りよがりなワンマンプレイに走ってしまうという悪いクセがある。
このあたりも若かりし頃のジョーダンと非常に良く似ている。
かつてはチームのもう一人のエース、シャキール・オニールと得点機会の多少を巡って
いがみ合いをしていたという時期があるように、
若きスターは常にエゴイズムとも戦わなければいけないのだ。
もちろんコービも年を経るごとにセルフコントロールを学び、
新人の頃に比べたら無茶なプレイでチャンスを潰す回数は減ったが、
いまだにダブルチーム、トリプルチーム*5に囲まれてもパスを出さずに強引にいって
ミスを犯すシーンをたまに目にすることがある。
今後そんなシーンが減れば減るほど、
コービのバスケットボール・プレイヤーとしての完成度は高まっていくことだろう。

ここで忘れてはいけないことは、
コービ・ブライアントはまだ24歳(2003.3現在)なのだということ。
21歳でNBA入りしたジョーダンが24歳の時と比較して、
その総合力は勝るとも決して劣るものではない。
個人的な見解としては、むしろ上回っていると思っている。
まさに末恐ろしい、将来が楽しみな若きスーパースターである。

全く関係がない話だが、彼のファーストネーム、Kobeは、
彼の父親が昔食べて、そのおいしさに感動したという「神戸牛」から来ているらしい。
地名に由来しているならまだわかるけど、牛って…。






*1 ヴラデ・ディヴァッツ…ユーゴスラヴィア(現セルビア・モンテネグロ)出身のセンター・プレイヤー。
   レイカーズ、ホーネッツを経て、1998シーズンからはサクラメント・キングスに所属、
   2001年にはオールスターにも出場したヴェテラン。圧倒的なパワーはないが、
   ヨーロッパのプレイヤーらしく7フッターながらもアウトサイド・シュートとパスが上手い。

*2 ケヴィン・ガーネット…ミネソタ・ティンバーウルヴズのエースとして活躍しているフォワード。
   1995年、高卒ながらドラフト1巡目5位という高位で指名された。
   211cmとセンター並の身長を持ちながらガードに匹敵するムーヴを見せる
   スーパー・オールラウンダー。現在のNBA最高額年俸プレイヤーとしても知られている。

*3 アリウープ…パスを空中でキャッチして、着地せずにそのまま直接ダンクをするプレイのこと。

*4 フェイドアウェイシュート…ディフェンス・プレイヤーのブロックを避けるため、
   真上ではなく後方に跳びながら撃つジャンプシュートのこと。非常に難度が高い。

*5 ダブルチーム、トリプルチーム…ボールを持っているオフェンス・プレイヤーに対して、
   ディフェンスが2人つくことをダブルチーム、
   同様に3人がかりで守ることをトリプルチームという。





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