海洋空間佳本


チーム チーム」★★★★★
堂場瞬一
実業之日本社

2013.2.6 記
どうしても三浦しをん氏の「風が強く吹いている」を想起してしまうことは避けられないのだが、比肩するほど素晴らしい作品だ。
「風が〜」にもツッコミどころがいっぱいあったように、今作にも「山城があんなに簡単に改心するわけないやろ」などといった荒唐無稽ぶりはあるのだが、これまた同様にそんな瑕疵がまったく影響しないほどに、感動を充分描いている。
本当に一言でいうとベタなんだけど、きっちり泣ける。

箱根駅伝本番に至るまでの期間に割かれた紙幅が結構少なめで、あれ、もうレース? てな具合だったのだが、いざレース本番に入っても、きっちりと描写されているのは3区・朝倉、5区・門脇、9区・山城、10区・浦の4人だけで、あとの6区間は気持ち良いぐらいに無視されている。
それで文庫本429ページいっているわけだが、まったく長さを感じさせない。
欲を言えば、レースに臨むまでの日々をもう少し濃く書き込んでもよかったんじゃないか、と思うぐらい。

レースが終わり、クライマックスを越えた後のエピローグがスッキリしているのも、好みの潔さだ。





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