海洋空間B級生活のためのB級名言



第5回 ドキュメンタリーといえば?…野生の王国!?   2003.10.1



《今回の名言》

これからは影にいても光を見よう
           〜『ライカとモノクロの日々』



自分のコラムを振り返って大変なことに気付きました。
というか絶句しました。
俺、アニメと写真しかやってないじゃん!
映画は?音楽は?
ていうかお前第1回で小説家になりたいって言ってなかったか?
小説はどうしたよ!?
活字中毒だった過去は態度で全否定か!?
…まあ俺ってB級の人間だからさぁ(スッパー!←タバコ)、
何ていうかぁ、自分に対して正直なわけでぇ、
まあそのうち書くよ(グビグビゲッハー!←発泡酒)。
あ〜あ、南の島でボサノバ聴きながらダラダラしてぇなぁ…。
最高だよねぇ…。
あ、ごめんなさい、我を忘れてました。
そうそう、意外だけど、僕映画とか音楽も好きなんだよね。
ビデオレンタルショップに行くと、まず一番最初にアニメコーナーをチェック。
次に新作ランキング、邦画、旧作の順に廻ります。
新作は高いから、というか俺が貧乏だから旧作しか借りません。
旧作になるのを待ちます。
だからずいぶん後になってから「『チャーリーズ・エンジェル』見たぁ〜?」
などというズレにズレた発言をぶちかましたあげく、
「あぁ、フルスロットル?」って返されて困ってしまうのである(2003年夏の話)。
こういうときって銀狼怪奇ファイルよろしく
「俺をなめるなっ!」って意味もなく心の中で毒づくんだけど、仕方がないよね。

で、旧作を借り倒してるんだけど、どうも超の付くメジャー作品には触手が伸びねぇ。
借りようかなって思うこともあるんだけど、
まあそのうち見たらいいや、って『ハリー・ポッター』を棚に返す。
『シックス・センス』を棚に返す。
『2001年宇宙の旅』を棚に返す。
結局借りるのが『ダーク・シティ』だったりして、素敵なミッドナイトを満喫しているわけです。
でもメジャー作品も好みが合えばちゃんと見ます。
結局好みの問題かい!って話なんだけど、やっぱり偏ってんだよねぇ。
なんだか説明しづらいから、好きで好きで結局買ってしまったビデオを挙げてみようか。
うん、そうしよ。
それがイイね、ベタだけどベスト5なんかやっちゃおうか。

1)「デスぺラード」
2)「フロム・ダスク・ティル・ドーン」
3)「ドーベルマン」
4)「マトリックス」
5)「ペイバック」

こう改めて見てみると、本当に偏ってるよね。
中学生のお弁当(通称ヨリ弁)くらい偏ってる。
どれも銃器が出てるよね。
ヒーローものだよね(うち4つがダーティヒーローなんだけど)。
野郎ばっかしだよね。
…やばいね、俺。

そんな前フリで今回の名言は前回に引き続き
内田ユキオ氏の著書『ライカとモノクロの日々』からです。
『これからは影にいても光を見よう、と。』
影を見るか、光を見るか。
人によっても違うし、その日の気分によっても違ってくることなんだけど、
キッズ達はどっちが好き?
俺、昔は影が好きだったの。
妙に暗いものが好きで、カミュの不条理小説とか山川健一の救われない小説とか、
詩人ボードレールとか、フランスのどうしようもなく暗い映画とか大好きだったわけ。
退廃思想の傾向があったのかもしれないが、
大きくなってからは底抜けに明るくて、しょうもなくって、
馬鹿馬鹿しいものが大好きになってしまったとさ、おしまい。
…ああっ!終わっちゃダメだ!!
しっかりしろよ、俺!
名言だよ、名言解説しろよ!

…そうそう、この名言は本書の中の「ズマロンについた小さな傷」からの一文です。
内田氏がドキュメンタリータッチの写真を撮ろうとしたとき、
浮浪者に缶ビールを投げつけられたそうです。
ズマロンっていうのはレンズの名前なんだけど、
その時に付いた傷は忘れられない痛みとして残っているそうです。
俺も休みで時間のあるときはブラッと写真撮りに行ったりするけれど、
始めたころからドキュメンタリーには触手が伸びません。
それは映画でも小説でも同じなんだけど、
今現在自分の頭の中を占めているのはエンターテイメント。
世の中への啓蒙として存在するドキュメンタリーはなくてはならんと思うが、
悲しい話や、大切な人間が離れていったり死んだりする話はあまり好きではありません。
そこに特化するのが好きじゃないだけで、
シナリオにどうしても必要であれば気にはならないのだが…。
特に自分がゼロからシナリオを書くときには思うことです。
人が見たり読んだりして温かい気持ちであったり笑ったり、
そんな感情に作用する作品を作っていきたいと思うんだよ。
内田氏も本書の中で『やさしさと喜びを感じられる写真が撮りたいと思った』と言っています。
しかしそれを実際に表現することは本当に難しい。
彼の写真から醸し出されるやさしさに触れるたびに、
素晴らしいフォトグラファーだと感じさせられます。

俺のシナリオはどうだろう。
ラジオCMをよく手掛けるんだけど、まだまだ修業中の身。
読み手を選ぶ原稿だと言われることもある。
難解だと言われることもある。
頭がおかしいと言われることもある(褒め言葉だと思っているが)。
ラジオCMっていうのは聞いた人みんなが「ああ、なるほど!面白いなぁ」と思ってもらえて、
なおかつ商品や企業を理解してもらわなくてはならない。
そこに自分のカラーが出ると申し分のないCMになるだろう。
いや、なるんだよ。
こうやって書くと簡単そうだよね。
俺はこれがなかなか出来ない。
さじ加減が難しい。
同じ商品のCMを何十タイプも書いてようやく一本「あ、いいね」って言われる。
自分では全部イケテルって思うんだけどねえ…やっぱりそうじゃないんだよね。
主観で見たらイイような気がするんだけど、客観ではそうでもないんだよね、オロロ〜ン。

で、俺は本業(CMコピー)以外にやりたいことがたくさんある。
写真もその一つなんだけど、
映像もやりたいし、それを自分で編集もやりたいし(←ショートフィルム?)、
近いうちに形に出来たらいいなぁ(たぶん偏った作品になるだろうが…)。
そしてその作品がやさしさと喜びを感じさせることの出来るものだと嬉しいな。

今はCMが完成したときに喜びを感じたりするんだけど、
いずれは、自分の書いたCMや作品で人を幸せにできて、
その人達の笑顔で自分が幸せになれたら本当に最高だと思う。
…あ、南の島も捨てがたいなぁ…。




ライカとモノクロの日々 『ライカとモノクロの日々』
内田ユキオ著
竢o版社(2002年2月)

著者の内田ユキオ氏は新潟県出身、
1995年よりフリーカメラマンとして活躍。
現在、月刊カメラマンなどで連載も持つ。
他著に「ライカの写真術」など。





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