海洋空間シンガポール旅行記



第2日
2007年1月4日(木) 「シンガポール動物園→ナイトサファリ(トラム)」
     2007.3.20 公開


7:30起床、1Fレストランにてブッフェの朝食
さすがに一品一品ゴージャスで、味もいい。
サラダなど生を含め野菜のメニューが少ないのがちと不満だったが。

部屋に戻って支度を済ませ、9時前にタクシーに乗ってホテルを出発
今日は「シンガポール動物園」を朝から堪能し、
その後「ナイトサファリ」へ行く予定なのだ。

天気は曇り空。
動物園まではおよそ30分弱の道のり、料金はS$14ちょい(約1100円)。
おそらく距離は結構あると思うが、
自動車専用のバイパスがよく整備されているのでスイスイ。
クアラルンプールを車で走っていた時にも(そして歩いていた時にも)思ったが、
このあたりの都市はバイパスが非常に発達している。
だから徒歩よりも圧倒的に車移動向き。

9:20頃に「シンガポール動物園」に着いたが、まだ早いので人出は少ない。
窓口で「ナイトサファリ」の入場がセットになったチケットを買った。
1人あたまS$38(約3000円)、2人合わせてS$76

「シンガポール動物園」エントランス
まだ人は少ない「シンガポール動物園」エントランス


いかにも熱帯然とした園内にさっそく踏み込んで歩いていくと、
開放的な左右のフィールドにシカ、そして樹上にトリサルの姿が見える。
ここ「シンガポール動物園」の動物たちは“世界一幸せな動物たち”と称される、
と聞いたことがあるが、そんな表現も誇張でないと思えるような、
檻のない放し飼い状態
本当のところはもちろん完全な放し飼いであるわけはなくて、
ちゃんと決められたエリアで管理されているのだろうが、
入園客にそういったことを感じさせない展示法が一流だ。
そして各個体にあてがわれている実際のスペースもおそらくかなり広い。
並の動物園を訪れるとしばしば「ああ、かわいそうだなあ」なんて動物を見ながら思うことがあるが、
そんな劣悪な環境とは程遠いこの「シンガポール動物園」。
こりゃ本当にすごい。

マメジカ
世界最小のシカ、マメジカ

フクロテナガザル?
樹上で吠えていたのはたぶんフクロテナガザル

あたりはまるで熱帯雨林そのまま
日本の動物園とは比較にならない開放感


ホッキョクグマの獣舎に行き、10:05から始まる給餌の様子を見る。
若い男性のスタッフがアクリル壁の前で英語で達者にガイドしつつ、
中にいる飼育員が魚や肉の餌を与えていく。
ホッキョクグマはドカーンとプールにダイヴしながら餌に喰らい付いたり、
時には後足で直立してその大きさを誇示したり。
こういった見方ができると、その巨大さがよく分かる。

ホッキョクグマ
餌を待つホッキョクグマ 立つとデカさがよく分かった


10:30からは「Wonders of the Wild Show」という名のアニマルショー
サルだとかヘビだとかアシカといった多様な動物たちが登場するショーだが、
この進行を務めていた女性係員も非常に上手い。
人前でしゃべる言語としては英語って日本語よりも向いてるのかもね。

観客が参加するショーの一コマ
観客を呼び込んで吹き矢を吹かせる

チンパンジーの仔
チンパンジーの子供も参加

こちらも観客参加型
アシカをちょっと怖がる観客の子供


11:00からジャガー給餌がある、と案内冊子にあるのでショー後、
ダッシュで「キャットカントリー」にあるジャガーの家を目指すが、
やはり開始には間に合わず、最後の方をほんの少しだけ観ることができた。
水に飛び込んで泳いでいたぞ。

水から上がったジャガー
池に飛び込んで餌を喰い、水から上がったばかりのジャガー


再び移動、アニマルショーが行われていたステージの隣にあるアジアゾウのゾーンに戻り、
11:30から始まる「Elephants At Work And Play Show」というゾウのショーを観る。
素朴なゾウ使いたちに操られた5頭のアジアゾウが器用にいろいろな芸をこなしていた。

ゾウとゾウ使いたち
丸太運びの芸

ゾウ使いの帽子を取った
ゾウ使いの帽子を取った(今からかぶせるんだっけ?)

餌をもらおうと大口を開ける
餌のウリをもらおうと大口を開けるゾウ


そろそろ正午、暑さと湿気もあって園内の広さが堪え始めてきた。
園内には移動用のトラムが走っていて、
僕たちのチケットにはその乗車券は付けていなかったのだが、
別に検札もしないのでタダ乗りとか!
プラプラと途中の動物を観ながらレストランに行き、ランチ
僕はフライドライスセット、いわゆる炒飯のようなご飯とチキンがセットになったものを、
妻はチキンカレーを。
カレーをちょっともらったら、辛かった。

午後になり、それまでの経験と昼食時にマップをジックリ見たことから、
効率のよい見学の勝手がつかめてきたような気がする。
動物見学のハイライトの1つである餌やり給餌シーン
Feeding Trail」という形で行われており、つまり電車が各駅を回っていくように、
5〜15分ほどの間隔で餌やり職員集団が決められた各動物ゾーンを順番に訪問して
ガンガンと餌をやりながら行進しているので、
我々見学者もそれにくっついていけばいいのだ。
その餌やりトレイルを捕まえ、テナガザルタテガミオオカミカワウソマレーバク
バビルーサ(和名をシカイノシシといい、インドネシアのスラウェシ島にだけ棲んでいるというブサイクなイノシシ。
一見するとイボイノシシに似ている)→ホワイトタイガーコビトカバと続けて食餌を観ることができた。

テナガザル
テナガザル

タテガミオオカミ
タテガミオオカミ

カワウソ
カワウソ

ビントゥロン
ビントゥロン(和名はクマネコ)

マレーバク
マレーバク

バビルーサ
バビルーサ

コビトカバ
コビトカバ


何といってもホワイトタイガーがすごかった!
次々と投げ込まれるチキンやマトンの塊を、
水に飛び込んだり陸に駆け上がったりしながらガツガツと喰らっていた。

池に泳ぐ魚を威嚇?
餌の時間だと分かると池の中で大暴れ 泳いでいる魚も怯えている

肉の塊を喰らう
骨付き肉の塊に貪りつくホワイトタイガー

観客をジッと見つめる
観客をジッと見上げる


その後はフリーにパーク内を歩いて残りのエリアを隈なく探索した。
かなり疲れてもきたので、エアコンシェルターなる休憩所で少し休んだり。
途中、何でもない芝生エリアになんと
コモドオオトカゲの子供が2頭ほどウロウロしていたのでビックリして、そして興奮だ!
土を前足でほじくり返してミミズなどの虫や小さなトカゲを食べていた。
体に少し触ってやったらピャーッと逃げていったぞ。
しかしここでちょっとカメラのフィルムを消費しすぎたか…。

奥にトリ、手前にコモドドラゴン
餌を探すコモドドラゴンの仔の向こうでは大きなトリが休んでいる

舌を出しながら地を這い回り獲物を探す
舌を出しながら地を這い回り獲物を探す

何かを見つけたか?
何かを見つけたか?


この頃になるともちろん午前よりもお客さんはだいぶ増えていた。
一番多いのは白人(オーストラリア人が多いのだろう)で、その次に中国系の人たち。
日本人は思ったよりもかなり少なかった。

角を突き合わせて一触即発?
角を突き合わせて戦い直前? のインドサイ

目の前の枝に座っていたワオキツネザル
歩いていたら目の前に縞模様の紐のようなものが… ワオキツネザルだった!


16時頃、かなりの勢いで夕立がザーッと降り出した。
昨晩もそうだったが、やはり雨季なので大体毎日1度はこんな雨が降るようだ。
朝ホテルを出る時にドアマンに「傘を持って行った方がいいよ!」と言われたのだが、
「いいよ」と断って来たのを少し後悔。
雨脚はどんどん強くなりまったく止む気配などないので、
不本意ながら園内のショップで1本S$9(約700円)を2本買った。

ちょうどいいタイミングだったので、
シンガポール動物園」を出て隣にある「ナイトサファリ」へ向かう。
ナイトサファリ」の開園は19時からだが、
18時からレストランなどが空くのでまずは腹ごしらえからだ。
余談ながら、「ナイトサファリ」を見学するには電動のトラムに乗って回るのが一般的で、
今日は僕たちもそうしようと思っていていろいろ係員に訊いていたのだが、
トラムの予約開始時刻を尋ねたらある者は「午後5時」と言い、
またある者は「午後7時」と言う。
そして行ってみたら実際は午後6時18時からで、
シンガポールといえどもやっぱり東南アジアなんだなあ、と感じた一幕。

「ナイトサファリ」の入り口
動物園の横にある「ナイトサファリ」のエントランス


その18:00、「ナイトサファリ」エントランス前にある「ボンゴバーガー」という店で夕食。
僕はチキンのバーガーを、妻はビーフを食べた。
パティというより、ガッチリ肉の匂いと味がして、
お、美味い、と口に入れた当初は思ったが、まあ普通か。
代金は2人分合わせてS$31(約2400円)
喰っている途中、雨は少しずつ弱くなってきた。
ナイトサファリ」でもアニマルショーがあるのだが、雨天の場合は中止とのこと。
何とか持ちこたえてやってほしいもの。
食べ終わった後は、グッズショップを見たり少しブラブラ。

18:30頃から、入場とそれに伴うトラムを待つ人の行列がものすごいことになってきたが、
我々が乗るのは日本語トラムで、その列はこの英語トラムのものとはまた別。
やや安心。

英語トラムを待つ人の列
開園前から英語トラムは長蛇の列

日本語トラム乗り場
日本語トラム乗り場には一番乗り


ちょっと早いけど行ってみるか、とその日本語トラムの乗車口に向かったら一番乗り。
20分ほど待ったが、定刻が訪れ、スタンバイの整ったトラム最前列に満を持して乗車。
ものの本によると、トラムのガイドは一番前の車両
(トラムは小型のバスほどの車両が数両連なっている)のさらにその最前列に座るので、
自分たちもその近くに座らないと、
ガイドの解説と実際に見える動物との間にタイムラグが生まれてしまう、
ということだったから。
果たしてどうなのか。
目の前、運転手の横に座ったガイドは落ち着いた雰囲気の中年の日本人女性で、
ミラー・マサコと名乗った。

いざトラムによる「ナイトサファリ」見学がスタート。
実際進んでみると、最前列の座席は微妙だった。
確かにガイドの位置と近いから実況は分かりやすいが、
その分後ろの方に座っている人に比べて前方の視界が限られてしまうような気がした。
後方に座っていれば、ガイドの解説がスピーカーから聞こえてきたら
「おおそろそろか」と予測しながら斜め前方をずっと見ていられるけど、
最前列にいるとガイドの声がしたらもうその動物は真横。
トラムはもちろん止まったりせず、小走りぐらいのスピードを保って走り続けるし。
「ちょっと止まってくれよ〜」と何度言いたくなったか!
ちなみに写真撮影もフラッシュ禁止なので、
走るトラムからまともな画を撮るのはまず不可能。

とまあいきなりマイナスポイントから書いてしまったが、
初めての「ナイトサファリ」はもちろん充分に楽しく、興奮に満ちた体験だった。
稀少なインドサイアジアライオンマレーバク
オオアリクイマレートラインドゾウなどなど。
それらがほんのりと淡い照明、あるいは月明かりの下、
幻想的に浮かび上がる様を観る機会はそうそうない。

しかしミラー・マサコ氏の説明を聞きながら改めて感じたのだが、
我々が普通に動物園で見ることができる動物たちも、
実はその多くが野生では絶滅危惧種だったりする。
たとえば先ほど挙げたもので言うと、
サイに関してはアジアのものもアフリカのものも極めて少なくなっているし、
アジアライオンマレートラなんかは幻と言ってもいいかもしれない。
そして、ここ東南アジアや南米には多種多様な生物たちの生息域として、
熱帯雨林が広がっているわけだが、その熱帯雨林も今、
信じ難いスピードで地球上から消失していっている。
このままいけばあと40年で一切の熱帯雨林が姿を消す、という試算もあるようだ。
そういった悲しい現実を聞く者に想起させるような話を折々に挟みながら
淡々と解説するミラー・マサコ氏に耳を傾けていると、
楽しい中でも何度か表情が硬くなってしまった。

30〜40分ほどだったろうか、トラムによる見学を終え、
21:00から始まるアニマルショー、「CREATURES OF THE NIGHT SHOW」のステージに向かう。
雨は幸いなことにほとんど上がっており、無事開催の見込み。
20:30前には現場に着いたが、すでに多くの人が並んでいて、
定刻に円形の会場に誘導されて席に着いてみると、やっぱり満員である。

ショーにはビントゥロンカワウソフクロウオオカミ
アライグマサーヴァルキャットなど、多様な動物たちが登場。
サーヴァルキャットの垂直ジャンプの高さに驚いた。
また、客席のどこかにボアコンストリクターを仕込んでおくという仕掛けは
昼間に観た「シンガポール動物園」のアニマルショーと同じ小芝居。
そして動物園のスタッフ同様、このショーを進行した女性係員もまた、
説明と盛り上げが上手い。
とにかく雨が止んで本当によかった。

綱の上を歩いているビントゥロン
暗くて分かりにくいが、綱の上をビントゥロンが歩いている


ジャンプするサーヴァルキャット
サーヴァルキャットのジャンプ力はすごかった


ショー見学後「ナイトサファリ」を後にし、タクシーでホテルへ戻る。
よくしゃべる陽気な運ちゃんだった。

長い1日だった。
とてもよく歩いたし、暑くもあったから体はかなり疲労した。
しかしこの上なく充実した1日でも、もちろんあった。
シンガポール動物園」は世界有数の動物園というのもさもありなん、
文句なしにうなずける。
9:30から18:00まで、みっちり動物園を見たことになるけど、
全然退屈しなかったし、もう1度行きたいぐらいだ。
ナイトサファリ」は、どちらかというと動物園ほどではなかったけれど、
そのコンセプト含め脱帽には違いない。
そしてこっちはまだ徒歩による散策が残っているので、明日の晩に再訪する予定だ。

徒然なるままにさらに今日の感想を書くと、
外人の着ている漢字Tシャツは留まるところを知らない、ということ。
曰く、「品質保証」とか、「殿」とか!
なんだそりゃ。

また、今回の旅行は行きと帰りと宿泊以外はまったくのフリー、
自前でいろいろ行動しているので、代理店に任せるよりも当然安く上がっている。
シンガポールが比較的安全で、勝手にいろいろと動き回ることが容易な国でよかった。




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