海洋空間マレーシア旅行記



第5日
2004年8月17日(水)
     2004.10.16 公開

少しゆっくりめの9時起床。
テレビを観ていると、男子バスケットボールのアメリカ代表が
プエルトリコに負けたという五輪ニュースをやっていた。
今回は遅かれ早かれ
そんな事態が起こるであろうことは十二分に予想されていたので、
驚きはそれほどなかったけれどちょっと寂しかったなあ。
プエルトリコだもんなあ…。
その他、北島康介と野村忠宏が見事金メダルを獲得したという報も。

ムティアラ・ホテルのビュッフェ・ブレックファスト
ムティアラのビュッフェ・ブレックファストはとても豪勢だった

ここムティアラの朝食ビュッフェは
洋・中・和・韓、そして馬(マレーシア)と取り揃えられた、とても豪華で、
そして味も日本のホテルのバイキングとは比べようもない逸品であった。
またレストランの横はすぐプール、ロケーションも気持ち良い。

ムティアラのプールサイド
レストランのすぐ横はプール


部屋に戻ってある程度の荷物整理を行う。
この日は夜の便で日本へ帰るが、それまで予定はまったくのフリー
市内をプラプラうろつき回ろうかと思っている。
部屋は18時まで使用できることになっているので、
まだチェックアウトはしなくてよい。
ちなみに他2組の同志夫妻たちはオプショナル・ツアーである
半日市内観光に申し込んでいたようだった。

モノレールの改札
Raja Chulan駅の改札口

10:30、ホテルを出発して市内散策の旅に出る。
ホテルのすぐ横にある駅、Raja Chulanから、
最近できたばかりというモノレールに乗り、まず目指した目的地は王宮
国王が住む住居だ。
モノレールは非常にカラフル、真っ赤っ赤でアドだらけ。
他の車両もオレンジやイエローなどのド派手なデザインのようだ。

カラフルなモノレールの車体
非常にカラフルなクアラルンプールのモノレール


乗ること10〜15分ほどか、Tun Sambanthanという駅で降り、
そこから歩いて王宮を目指すことにする。
誰にも何も聞かずに地図のみを見てプランニングしていたわけだが、
ボクたちの他にこの駅で降りた観光客らしき人はほとんど見受けられず、
若干の不安感
結果から言うとその不安は的中したわけで、
歩き出してすぐに自分の現在位置を見失ったことに気付き、
駅員やら学校の警備員やらに道を尋ねつつ、
集落みたいなところを猜疑心いっぱいで通り抜けつつ、
ようやく何とか王宮に辿り着いた。

到着してホッと一安心ではあったが、さらに障害は横たわっていて、
王宮門番の男たちが「早くあっちへ行け」と言わんばかりに
ボクたちの接近を退けようとしている。
確かにこの王宮はガイドブックには載っていたものの
どうも観光スポットではないようで、
見に来ているのんきな輩も我々2人の他には誰もいない。
でもまあせっかく来たんだし、
門番の威嚇ごときにそうそう簡単に引き下がるわけにもいかないので、
何とか写真だけでもと食い下がったら、
一人だけいけずな堅物公務員門番がいたが、
その他の門番たちが笑顔とともに許可をしてくれ一件落着。

何とか王宮の前で記念撮影
何とか王宮の門前で記念撮影
ちなみに後ろの建物が門番の詰所


次なる目的地は国立モスク
ここも地図上で確認してみると、現在地から直線距離にして1キロもない。
充分徒歩圏であると判断を下し、テクテクと歩き始めたわけだが、
これまた結論から言うとえらい目に遭った
決して地図が読めないわけでも方向感覚に欠けていることもないつもりなんだが、
言い訳をさせてもらうと海外の場合、
ガイドブックの類に載っている道路図と実際の地理が合致しないこともままあり、
つまりはそういった理由で道に迷ってしまったのだ、ということにしておこう。
こんなことなら端からラクしてタクシー乗ったらよかったよ。
とにかく人に聞きまくりながら歩きまくるが、まったく要領を得ない。
ここマレーシアの公用語は英語のはずなんだが、
まず警察署らしきところを見つけてたまっている警官に道を尋ねたものの、
何たることか警察官が英語をあまり理解しない
巷間の商売人たちの方がよっぽど英語には長けているようだ。

強い陽射しの下、
丘陵地帯にある住宅街や湾曲しているバイパス沿いを延々歩き回り、
妻・ユカリンも相当疲れている。
ここらが潮時、素直にタクシーを拾って
「モスクへ!」と告げてやっと一息つくことにする。

しかしクアラルンプールの街(中心街からは少し外れたあたり)
をこの時歩き回っていて感じたのが、
とにかく自動車優先歩行者には優しくない街創りの意図。
今回のように、直線距離にしたらそんなに遠くない場所に移動しようと思っても、
幹線道路は大きく婉曲しており、それを跨ぐべき横断歩道や歩道橋など、
歩行者用のインフラはほとんど見られないので、
実際の徒歩移動に要する距離と時間は
日本の道路を思い描いて想像するよりもずっと長い。

涼しいタクシーの車中でそろそろ汗も引く頃、無事にモスクに到着。
しかしここでも残念なことに予定は翻されることになる。
着いたのが12:30頃だったのだが、
ここ国立モスク12時から15時まで閉じられており
この時間帯は内部に入れなかったのだ。
内装がアーティスティックだということなので、
特に元建築士である妻などはいささかガックリ気味だった。
いや、本当に申し訳ない。
外観のみ写真に収め、再びタクシーに乗って移動する。

絢爛豪華な国立モスク外観
広々として絢爛豪華な国立モスク前

続いてはいよいよ首都 クアラルンプールのド真ん中、
ランドマークであるペトロナス・ツインタワーに向かうのだ。

ペトロナス・ツインタワー
見上げる首もしびれるペトロナス・ツインタワー

近づくほどにその威容に圧倒され、
見上げる首もしびれてくるペトロナス・ツインタワー
452メートルの高さもすごいが、
その内部も紛うことなき広大な近代施設に相違なかった。
平日にも関わらず、ネイティヴ、ツアラー問わず人の波も凄まじい。
この建物、上層階はペトロナスという石油会社のオフィスとして使われており、
低層部にはスリアKLCCというメガ・ショッピングモールが入っている。

スリアKLCCの吹き抜けをバックに
ペトロナス・ツインタワーの内部は
スリアKLCCというショッピング・モール

時間もお昼時、そのスリアKLCCの4Fにある
アジアン・フードコートでまずはランチを食うことにする。

当然フードコートも買い物客や観光客、
それにこのビル内で働いているのであろう従業員たちでごった返していた。
アジアン、というその名の通り、
様々なアジア料理のショップがカフェテラス方式で建ち並んでいる。
何を隠そうボクは、
日本でカレーを食う時も迷わず「甘口!」とオーダーしてしまうほど
辛いものが苦手なので相当逡巡したことはしたのだが、
郷に入っては郷に従えという
先人のありがたい言い伝えをここは素直に聞き入れ、
ご当地のエスニック料理を取り分けて食べることにする。

やはり無理をしてはいけなかった
特にチキンカレー想像を絶する辛さを発揮、
意地と根性で(大げさな)何とか半分ほど胃に収めたが、
実は結果的にいうとこれが大きな誤りで、食い終わるや否や、
内臓がピクピクと痙攣を起こしているような感覚が手に取るように感じられ、
何か腹痛のようで腹痛でない、微妙な吐き気を伴う違和感をずっと持ちながら
残りの旅行をこなすことになった。

想像を絶する辛さに悶絶
ふざけているように見えるが、
本当に死にそうだった

前々日、“リヴァー・クルーズ”の時に食べたカレーなどが辛くなかったから
完全に油断していた、今になって思うと。
イマドキ女性のご多分に漏れず
辛さに相応の耐性を持つ妻はケロリとしていたが…。
その妻はこの原稿を読んで、
「あのカレーは想像を絶する辛さでも何でもなかったし、
私は別に辛さに特別強くないよ」だって。
やっぱり本当に気合の入った本場のアジア料理は、ボクには無理だ。
ちなみにこのランチ、取りたいだけ取ってお勘定を済ませると、
2人分で400円あまり
とてつもなく安かったことは言っておきたい。

焼け石に水の感もあるが、
せめてものお慰みにフルーツジュースを買って飲んだ後、
モール内を歩き回ってみることにする。
建物の真ん中あたりをドーンと貫いている吹き抜けが開放感たっぷり。
いろいろな店を覗きつつ、本屋で本を買ったり、
インテリアや雑貨の店で小物を買ったりした。

クアラルンプール中心部の街並み
クアラルンプール中心部の街並みにて

一通り見た後、よし、今日はクアラルンプールショッピングに興じることにしよう、
と決め、スリアKLCCを出て、
次はスンゲイ・ワン・プラザというショッピング・エリアを目指すことにする。
ここも地図を見て見て、うん、歩いていけるんちゃうかと移動を始めたんだが、
またも不幸なことに道に迷ってしまった
それ以前に、
はっきり言って直線距離が地図に書いてある縮尺とは明らかに異なり、
歩いて行くなどというプランは端から極めて無謀なのであった、
ということも分かった。
敗北感に打ちひしがれてタクシーをピックアップ。

しかしクアラルンプール中心部の交通渋滞はものすごい
新宿も渋谷もキタもミナミも足元にも及ばぬであろう過密ぶりだ。
それに加えて、
ご想像通り交通マナーにおいてもはるかに日本人の予想を超えている。
歩行者も車も関係なく、とにかく自分が行きたいところ、
向かいたい方角を目指して人は皆猪突猛進。
我がホームタウン、
大阪も交通マナーに関してはかなりよろしくない土地ではあるが、
それも日本の中での相対的な話、
とてもクアラルンプールの比較対象になるようなものでもない。
ここでは辛うじて信号の存在と、自動車の持つ殺傷能力のみが
最低限の理性と気遣いを保つべく作用しているようだった。
一つ意外だったのは、オートバイはたくさん走っていたものの、
自転車がほとんど見られなかったこと。
甚だ短絡的な発想で情けないが、アジア諸国といえば自転車が大活躍、
というような貧困なイメージを持っていたので、それに関しては改められた次第。
蛇足ながらさすがに首都、
走っている自動車の車種もかなりヴァリエーション豊かになっており、
アルファ・ロメオ(147と156)も数台散見された。
着実に富裕層というものは増えてきているのであろう。

スンゲイ・ワン・プラザでアクセサリーなど買い求めた後、
一旦ホテルに戻ることにする。
ここは近いので無事に徒歩で帰ることができた。
なぜ戻ったのかというと、
ボクたちが泊まっているムティアラ・ホテルには
DFS Galleriaが隣接していたから。
文字通りクアラルンプールを迷走、妻も結構歩き疲れているようだ。

DFSは思ったより小さかったが、それでもなかなかの品揃えで、数点買い求める。
ただ価格はやはり同じものでも街中の店よりは少し高い。
DFSでお買い物後、部屋に上がって荷物をまとめ、チェックアウト
スーツケースをクロークに預け、再び街へフラリと羽ばたくのだ。

ホテル横の駅、Raja Chulanから再びモノレールに乗り、
Imbiという駅で降りる。
次なる目的地は今年オープンしたばかりという、タイムズ・スクウェア
新宿南口にもあるアレだ。
確かに新しくてきれい、そしてデカいが、
まだ埋まっていないテナント・スペースなんかも結構あって、
若干期待外れといったところか。

タイムズ・スクウェア内の様子
まだ新しくてきれいなタイムズ・スクウェア店内


時計の針は18時を超え、そろそろ夕飯時だ。
昼の後遺症がないこともないが、そんなことは言ってられない。
晩飯は心中で予定していた通り、
ジャラン・アローという、地元の屋台街へ行くことにする。

ジャラン・アローの看板前にて
ジャラン・アローの入り口に掲げられた看板

観光客はほとんどおらず、
いかにもといった感じの雑多な空気と喧騒に満ちたジャラン・アロー
やや緊張感をその身に込めて赴いたが、やっぱり見た目も近いアジア人の街
(この屋台街の住人もほとんどが中国系マレーシア人で占められていた)、
白人や黒人だらけの街に飛び込むよりも幾分気はラクである。

ぜひここで食べようと思っていたバクテー(肉骨茶)にチャレンジ。

バクテー(肉骨茶)
これがバクテー(肉骨茶)

若干漢方薬のような風味に満ちた、豚足のスープ煮込みのような料理である。
ボクは元々豚足が好きなのでなかなかおいしく食べたが、妻は苦手っぽい。
ただ、汚れの目立つグラスに入れてドンと置かれた水は
明らかに今そこで汲んだかのような水道水、口を付けることは能わず。
地元の人たちに埋もれて
道端に置かれたイスとテーブルについてチープな料理を口に運ぶ、
この数日間の中で一番“旅行”をしていたのはこの数十分間だったのかな。

食い終わるとさらに気分はリラックスしてこの通りを歩くことができる。
店先に出されている生簀の中に泳ぐ様々な魚介類を眺めたり、
片言の日本語で話しかけてくる呼び込みをやり過ごしたりといった行動も
なかなかに楽しい。
夕闇が迫る時間帯、ますます活気もついてきている。

徐々に活気付いてくるジャラン・アロー
夕闇の訪れとともに少しずつ活気付いてくるジャラン・アロー

なぜかここも英語はあまり通じないみたいだ。
バクテーをあまり食べられなかった妻は
別の店先で売っていたアツアツの揚げパンに心奪われ、
ジュースなどとともに買い求めて食す。
ちなみに揚げパンは一つ約18円
ここに本当のマレーシア人の生活があったね。

ジャラン・アローを抜けて足は再びオシャレで近代的な繁華街へ向かい、
BBプラザLot 10(ここには伊勢丹が入っていた)
といったショッピング・プラザをブラリブラリと歩いてみる。

歩き疲れて20時前、ホテルに帰り着く。
20:15にロビーにお迎えが来て、空港へ向かうことになっているのだ。
何事もなく時間通りにガイドさんと合流、
ヴァンに乗ってクアラルンプール国際空港へ。
我々を含めて3グループ、これまでずっと一緒だった中年夫妻1組と、
この時初めて会った3人家族とともに。

ライトアップされたペトロナス・ツインタワー
空港へ向かう途上見えた、
ライトアップされた夜のペトロナス・ツインタワー


21時過ぎ、空港に到着し、ガイドさんにチェックインの手続きをしてもらって解散。
余ったRMに替え、時間があるので空港内のお土産物店を見て回る。
思っていたよりも充実のお店群、やはり値は少し張るが、
ずっと買おうと思っていた木彫りのオオトカゲが手に入って満足だ。
妻も免税店で香水やお土産などを購入。

あっという間に時間は経ち、23:45発
関西国際空港へ向かうMH52に乗り込んで帰国の途に就く。
社会人になって初めて夏の間に取った夏休み、どうだったんでしょうか。

(了)




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