海洋空間佳本


絶望ノート 絶望ノート」★★★★☆
歌野晶午
幻冬舎

2012.12.9 記
照音の日記に延々綴られているいじめの描写を読み進めていくのはなかなか辛いものがあるが、それを込みにしたとしても、読み易さという点では抜群の安定感だ。
いわゆる叙述トリックについては、破綻しているというほどではないと思うが、トリックのためのトリック、になってしまっているように少々感じられた。
葉桜の季節に君を想うということ」を読了した時にもそれは思ったのだが…。
国府田夏美はともかく、刑事までもが照音殺人犯説にのめり込んでいく様は違和感があったし、そもそもその刑事が絡んできたエピソードも回収されぬまま、などといった不満もいくつか残るが、引き出しの多い歌野晶午作品としての最低限のクオリティは保持しているはず。
道尾秀介氏が創る世界とも共通点を感じる。





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