ノンフィクションでありながら、近未来の描写をちょっと入れたり、ほんのり小説テイスト。
全編通読後、結構重要なブリッジが端折られているんじゃ…といった感想を持ったりもしたが、遺伝子工学の大まかな現状とこれまでの過程がある程度分かり、また、永久凍土が失われてゆくメカニズムとそれがもたらすCO2排出の恐ろしさがヒシヒシと感じられ、スリリングでもあった。
意図して種を滅亡させることも可能だという、遺伝子ドライブなる技術も然り…。
科学者は"科学でできること"を際限なく突き詰めるのが本能であるし、その衝動及び恩恵と倫理がどこで折り合いをつけるのか、これはバイオテクノロジーを論じる時に必ず付いて回る問題であり、もちろん本書の読者に対しても例外なくその命題は示される。
個人的な感覚としては、例えば"人間に害をなす生物を改変・駆逐する"、"別の種の生物が持つ特徴を発現させる"、あるいは"飼い主の要望を受けペットのクローンを作る"などといった技術は既に超えるべきでない一線を跨いでしまっている気がするが…果たして、ジュラシックパークならぬ"氷河期パーク"は誕生するのだろうか? |