久しぶりに「あれ、もう2時だ」「うわ、3時過ぎちゃった、早く寝なきゃ」「…5時か…。まあいいや、最後まで読むか」という具合の読み方をした小説。
掴まえられて、引き摺り込まれた。
完璧な作品ではないと思う。
主要登場人物のキャラクターが物語全編を通して見ると若干だけどブレているところとか、肝心の頭脳戦の結末が、勝利を簡単に手にしてしまう人物の描写や位置づけも含めてちょっとアレなところとか、ギョーカイ事情の細かいところとか。
しかしそれら瑣末な不満点などまったく問題にならない魅力的なストーリー、そして世界。
公式サイトで作者自身も書いておられるが、まさに全力を尽くし、注ぎ込んだ作品であると、読む側の私も強く感じた。
文字通り地球の裏側まで股に掛けてリアリティーたっぷりに繰り広げられる、疾走する物語。
舞台が大きく、そして描かれている年代も比較的幅広いにも関わらず、激しく疾走している。
すでに様々な賞を受賞しているので私などが言うまでもないが、間違いなく史上に残る1冊であると思う。
そうでなければ困る!
あまりに面白すぎて、これ以上はもう書けないや。
今すぐこの作家の全著作を集め、そしてこれからも追い続けなければいけない。
「アマゾン河の食物誌」や「アマゾン源流生活」といったルポタージュは優れたノンフィクションだが、それらとはまったく趣を異にしながらも、これもまた人をアマゾンへと誘うという点においては同質の、魔の書か。
これから読む「ラティーノ・ラティーノ!」と併せてどうなることやら。 |