事実と主観の書き分けが曖昧だったり、古文の訳が怪しかったり、プロっぽくない日本語の紡ぎ方などが見受けられたりするのが少し気にはなるけれど、そういったものに対する自分の中のリテラシーさえしっかり保っておけば、縄文時代から現代に至るまでの日本の食にまつわる色々な知識や見解を知ることができ、大変興味深く読める一冊である。
冒頭から"ジビエの縄文クッキー"などというパワーワードに好奇心と食欲を刺激されるではないか。
稲作と日本文化の関係についての考察や、箸の使用と工業技術の発展を結びつける発想などもなかなかユニーク。
長きに渡って肉食がタブーであったことが長寿につながったとする見方には説得力を感じたし、肥満体が少ないのは米食中心のおかげ、という意見については私も首肯する。
西洋文化由来の低糖質ダイエットからは何かと目の敵にされる米だが、特に玄米は非常に優れた総合栄養食であり、決して健康的な体と見た目作りを阻害するものなどではないはず。
ちゃぶ台が意外と新しいものだった、というのは意外な豆知識だった。 |