これはブッ飛んだ1冊だ。
構成は決して洗練されているわけではないが、あまりにも常軌を逸した特殊な男の特別な振る舞いが、いかにも"普通のこと"であるかのように書かれていることがひたすら面白い。
何だか読んでいるうちに、フルマラソンですらほんのウォームアップぐらいの短い距離なんじゃないか、という感覚が頭をよぎるが、あくまでも我々にとってそれは錯誤であるので間違えぬように。
これからマラソンの大会に出よう、という読者にとっては、上手いこと作用すれば大きな助けとなるだろうが、ヘンに共感してしまうとボロボロになって壊れてしまう恐れもある、そんな諸刃の剣だ。
とにかく狂っている、としか言いようがないが、それがまた痛快極まりない。 |