ヨーロッパで書かれたいくつかのメジャーなスタンダードファンタジーがパッと頭に思い浮かぶベタな導入、舞台設定ではあるが、それ故にという面もあるか、確かな筆力とも相まってリーダビリティは高い。
途中、著者の好きな藤子・F・不二雄氏の「パラレル同窓会」を連想させるミスリードがあるが、それよりも、「これって〇〇が違うんじゃね?」と早い段階で真相を予見できてしまう読者の方が多いのではないだろうか?
その時点で、喜多嶋先生の素性にも何となく辿り着けるというか。
ただプロットがある程度先読みできるからといって、作品の持つ魅力が減じられるということはまったくない。
クライマックスの核となる"オオカミさま"の正体にはさすがに思い至らず、驚きと深い感動に包まれる読後感となった。
上手過ぎる。
リオンが一気に影の主人公へと存在感を増す締め方にも特に違和感はなく。
引っ掛かりを最後に1つ、鍵の在処は7人が隈なく探せば見つかってしまうんじゃないかな…。 |