フローの厳密な定義やその条件等、細かく突っ込んでいけば理論的に破綻しそうな点はいくつか感じられたものの、総論としては非常に興味深い一冊だった。
Xスポーツのアスリートを中心にスポットを当て、彼らの脳内で何が起こっているのか? という考察がメインコンテンツとなっているが、例えば、フローになった時、その人の脳の中では自己意識も時間感覚も消失する、という説明や、現代社会で都市生活を営んでいる人は常に先々について考えなければいけないからフローに入りにくい、その点、"今"だけに集中しがちな若い脳は有利だ、という解説などはとても説得力があった。
実際に体を動かなさくても、それをやっていることをイメージするだけで脳内の働きは等しい、というくだりも然り。
何とかみんな辻褄を合わせてごまかしながら生きてはいるが、今の世の中がいかに動物としての人間の本質から外れているか、ということにも、発展して思いを馳せることになった。 |