少し古い本だが、とある限られたケースに凝縮された、プロスポーツに賭けるアメリカンドリームを的確に描写した力作だと思う。
NCAAと高校との関係、人種と貧困にまつわる問題、スポーツメーカーの暗躍…、私のようなNBA好きにとって、漠然とそういったものがあるんだろうな、と感じてはいながらも、その細部についてはまったく知り得なかった各トピックスについて、まさにノンフィクションのディテールを読むことができる。
お国柄か、表現も非常に率直だ。
ただ、活字を読むだけではやはり、成功をつかむ者と敗北して地に堕ちる者との間に横たわる紙一重の差がなんなのかは、分からない。
あるいは、登場人物に対する著者の情のようなものが、それを宣告するシヴィアな筆を控えさせているのかもしれない。
取材対象の1人に、ステフォン・マーブリーが含まれていたというのは、著者にとっても読者にとってもラッキーなことだったろう。 |