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「天使のナイフ」★★★★★
薬丸岳
講談社
2015.7.21 記 |
14歳未満の者の行為は罰しない、という刑法第41条に真正面から向き合うと同時に、複層的で完成度の高いミステリーとして組み上げられた傑作だ。
突然、理不尽な犯行によって家族を奪われた桧山貴志のやり場のない憤りに読者はどっぷり共感し、一方で連鎖が連鎖を呼びつながっていく因果と悪意に、我が事のように戦くことだろう。
最終盤で明かされる、そもそもの萌芽を生み出した卑劣な人物の行為については本当に最後までげんなりさせられるが、その中でも一筋の光明に向かって主人公がポジティヴに歩いてゆくラストに、救いを感じることができる。 |
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