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「背の眼(上)」「背の眼(下)」
★★★★☆
道尾秀介
幻冬舎
2009.6.27 記 |
私はこの作品の続編に当たる「骸の爪」の方を先に読んでからこちらに取り掛かったのだが、細かな伏線など含めた完成度そのものは「骸の爪」に若干及ばぬものの、核となる道尾、真備、凛の性格付けと関係性はすでに確立しており、充分読み応えがある。
“マトモな”ミステリーの多くが、一見超常現象に見える事象を提示した上で、実はそれはすべて科学や理屈で説明できるものであった、という展開を広げていくわけだが、この本は心霊現象を心霊現象として置き留めたままに、理性的なロジックを共存させようと試みているところがすごい。
長編デビュー作ならではの、挑戦的な作品だと感じた。 |
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