実は「コミックバンチ」に連載していたマンガを読んで初めて知り、あまりの面白さにコミックスを揃えてしまった、という作品。
ただ私のその評価が世間の標準とは若干異なっていたようで、物語半ばのうちに連載打ち切りになってしまった、というのは余談である。
それから原作も当然のように読んでみたくなり、探していたものの長らく増刷が止まって絶版状態になっており、このたび数年越しでようやく手にすることができた。
今改めて楡周平の「青狼記」を読んでみると、マンガと比べていささかシンプルではあるものの、やっぱりメチャクチャ面白い。
ここまできたら最早バカとしか言いようがないほど純粋過ぎる趙浚だが、二昔ほど前の連続ドラマを思わせる、絵に描いたような波瀾万丈の展開の中にあってはそれすらもふさわしく感じる。
テーマとしても流れとしても、特に新奇なところはまったくないが、真っ向勝負でズシンと体の深奥に響いてくる、そんな名作だと思う。
可能性はほとんどないだろうが、続編を書いてほしい気がする。 |