世の中には理不尽なことがたくさんあるが、腹立たしいけどまあいいか、というものもあれば、これはちょっと看過できまい、と感じるものもある。
このルポルタージュは、著者の清水潔氏が、前述の中でも後者の類に入る、とりわけエクストリームな事柄に執着し、彼が思うところの真実を追求していく過程を克明に記したもの。
ご本人は否定しつつもやっぱりちょっと自慢に聞こえてしまうような嫌いはあるものの、誰もがおかしいと思うことについて「おかしい」と声を上げ続け、行動に移し続けていく様には、例えそれが最終的な結実にはつながらなかったとしても、感服せざるを得ない。
合法的に人間の身体を拘束し、その人生を狂わせることができる公権力が判断を誤り暴走した場合、我々個人が手にできる武器はほとんどない、という現実的な恐怖がよく伝わる。 |