帯にもある通り、これはまさに現代版の遠野物語のようだ。 付喪神や八百万の神などという言葉があるように、古来より身の回りの様々なものに"神"を見出してきた日本人だが、特に"山"に対しては、その畏敬の念はまた別格であるように思う。 寺の一つ一つが何某かの山の名を負っていることからもそれは感じられる。 収められている小咄の中には、人智を超えた不思議な現象の他、単なる笑い話のような小ネタも含まれているが、それらも込みにして、ああ山ではこういったことが起きるんだなあ、と自ずと腑に落ちる。 都市部ではあるが、私の家のすぐ近くにも山が広がっており、頻繁に入ることがあるので、これからはもう少し神経を尖らせて通ってみようか、などと思ってみたり。 |