こんなに面白い小説を今まで読んでいなかったなんて。 サイクルロードレースという独特な題材を扱いながら、その世界の持つ特殊性を巧みに広範かつ理解容易なレヴェルにまで敷衍し、さらにミステリー仕立てのエンターテインメントとして見事に成立させている。 巻末の解説で大矢博子氏も書かれているように、コアな自転車乗りもロードレースのことはよく知らない読者も、ともに満足を抱く傑作なのではないだろうか。