古今東西を問わず、どうして獄中記というものはかくも面白いのだろうか!
我々凡百の者どもは決して体験し得ない(また体験したくはない)、それでいて覗いてみたくて仕方がない真実や事実の数々が、実際に体験した人物の手によって圧倒的なリアリティとともに書き綴られている、それはもうそれだけで理屈抜きに魅惑的なものなのだろう。
こういったカテゴリーに含まれる書籍であれば、たとえば文章を書くプロフェッショナルではない人が書いたとしても充分に興味を持って読み進めることができるのだから、中島らも氏のように高い感性を備えた職業作家が書いた本書はそらもうあっという間に一気読み、抜群に面白かった。
ただこういった題材に本能的に喰いついてしまうのって、そのほとんどが男であるような気はする。
坂本敏夫の「刑務官」や黒木昭雄の「警官は実弾を込め、撃鉄を起こした」なんてノンフィクションもきっと男だけなんだろうなあ、好きなのは。 |