これも昔、「コミックバンチ」誌上にアレンジしたリメイク版が連載されていたが、いやあ、原作がこんな話だったとはついぞ知らなかった。
設定だけ読めば明らかにSFモノくさいが、物語の内実はまったくそんなものではなく、ある種の哲学を示唆しているといってもいい。
決して終わることのない(と信じられる)無間地獄に迷い込んでしまった時、そしてその煉獄ループからは絶対に抜け出しようがないと覚悟した時、人はどうなってしまうのか。
ジェフやパメラの幾度も繰り返される半生を通してこの書は私たちに、物質的な富や充足というものが一体どんな意義を持つのか、そして人の愛すら果たしていかほどの価値を持つものなのか、そんな命題を投げ掛ける。
結末自体は有り体といえば有り体だが、読者に自発的な感動と現在の生活に対するちょっとした戒めを与えてくれる。
いい話だ。
ところどころ前後の文脈から脳内意訳を行わなければならない日本語訳が残念。 |