海洋空間佳本


楽園のカンヴァス 楽園のカンヴァス」★★★★☆
原田マハ
新潮社

2012.3.21 記
アンリ・ルソーという画家が描いた絵をメインモチーフに据え、いわゆる美術の世界を舞台にした作品だが、その方面にはまったく疎い私でも分かりやすく、興味を持って物語を読み進めることができた。
「ギャラリーフェイク」を読んで楽しむことができるならば、充分だ。

プロット自体は取り立てて奇抜ということはなく、いろんな意味で読み手の想像を遥か超える、というようなことはないが、作中作を上手く活かしている点、本編となる長い回想をプロローグ&エピローグ的な現在のシーンで挟んでいる構成などがよく効いている。
登場人物も少数ながら、だからこそリーダビリティー向上にそれが一役買っているのかも。
映像化にも向いているだろう。

長編といえど決して長い小説には非ず、もう少し各所に肉をつけて膨らませてもいけたんじゃないか、そんなヴァージョンも読んでみたかったなあ、なんて思わせるような作品だった。





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