「巷説百物語」シリーズ、久々に読んだが、ものの見事にガツンとやられてしまった。
初っ端、一篇目の「桂男」に、腑抜けた脳味噌を思いっきり揺さぶられ、ああそうだこれだ、これが巷説百物語だった、「笑ゥせぇるすまん」のようなこの作りが、と漸く気付かされて。
収録されている話は雑誌の掲載順時系列、最後の「野狐」が書き下ろしとなっているが、その並びも申し分ない。
素晴らしく出来の良いアルバムCDのような様式だ。
読者にとってはお馴染みの人物たちもやっぱり遠からず繋がっているし、安心感に満ちた一冊であることは間違いない。
途中に収められている幾つかの物語について、相対的に見て若干底が浅いというか、なんとなく想像の範囲内で流れが予見できてしまったというあたりで、星1つ減。 |