|
|
「二流小説家」★★★★☆
デイヴィッド・ゴードン
早川書房
2012.6.10 記 |
高い評判に違わず、確かに面白かった。
作品全体を包むパッケージはそれほど特異なものでも奇抜でもないと思うが、文章構成が非常に上手く、なんとなくレトロ感すら漂う正統的ミステリーとして楽しませてくれる。
訳者の青木千鶴氏も素晴らしい仕事をしていると思う。
翻訳ものは文化の違いがどうしても読者と作品の間に横たわっているから、地に足をつけた文学として感じるのは難しく、そういった意味では著者の目論見は少なくとも日本ではやや滑っているかもしれないが、あえて難点を探すとすれば、そこぐらい。
最後の数十ページにおけるスピード感は、いかにもアメリカン・エンターテインメント然としている。 |
|
|