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「地下鉄に乗って」★★★★☆
浅田次郎
講談社
2012.8.24 記 |
安易に陳腐なお涙頂戴に走ったり、あるいは素人目に見てもやっつけ仕事だろうこれは、というような著者の近年の作品には閉口を禁じえないわけだが、1994年に単行本が刊行された、ほんのりとSFの匂いをまとうこの小説にはちゃんと中身があった。
設定、展開は割とベタなタイムスリップものになるのだろうが、中心に据えた家族の物語が過不足ない程度にしっかりと語られているから、読みやすい。
ラストもこれまたありがちといえばありがちな結び方だが、18年前に書かれたものと考えれば、そのマイナスも少しは緩和されるだろうか。 |
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