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「黒百合」★★★★☆
多島斗志之
東京創元社
2016.4.11 記 |
私が西宮市民ということもあり、土地勘のある場所が舞台となっているのがまず読み易い。
伏線や筋の展開もさすがに見事で、構築されている世界には品があり、美しさのようなものさえ感じられる。
ご丁寧に事細かく説明してくれる今時のミステリーとは一線を画し、少し言葉が足らないぐらいにも思われる閉幕となっているが、その塩梅も心地よい。
ミスリードを誘う叙述トリックはちょっとあざと過ぎるかな?
著者が行方を絶つ直前に刊行された、事実上の遺作となってしまったが、改めて、惜しい才能を失った。 |
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