海洋空間佳本


騎手の一分 騎手の一分」★★★★☆
藤田伸二
講談社

2013.10.24 記
口述筆記だろうが、とても読み易い。
その上に、ここまで言っちゃうのか、と少々感嘆するほど、競馬界の内幕を赤裸々に明かしてしまっているから、読み物として実に面白い。
決して素行が真面目とはいえないが、男気を備え筋は通す藤田伸二という男が、恐らくは熟慮の末に辿り着いてしまったJRAに対する底なしの諦念が、一冊を通じて貫かれているのが、ちょっと物哀しくもある。
言っていることは至極真っ当なんだが、真っ当なことが必ずしも罷り通るわけではない現代社会の一つの標本が、普遍的な例として示されているだけ、と受け取ることもできる。

不良のイメージが強い藤田伸二騎手だが、特別模範騎手賞を2回、フェアプレー賞を17回獲得していて、どちらも歴代1位だとは恥ずかしながら知らなかった。





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