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「カラヴィンカ」★★★★☆
遠田潤子
KADOKAWA
2018.3.2 記 |
重い、やはり。 最も身近で最も濃密なコミュニティーである家族というユニットだからこそ渦巻き、振り払うことが難しい厄介な感情の数々。 村という閉鎖空間を舞台に、その陰鬱さと対照的に今作も著者の筆は冴え渡っている。 個人的には、最後のドンパチの部分はちょっと作品の格を損なっている気がして蛇足かなと思ったし、嘘の応酬こそが核とは分かりながらもその繰り返しがややくどいかな、とも感じた。
「ごんぎつね」があのような形でラストに活きてくるところはまさに遠田潤子氏の真骨頂であり、さすがの腕力だ。 |
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