海洋空間佳本


皆勤の徒 皆勤の徒」★★★★☆
酉島伝法
東京創元社

2014.5.16 記
最初の1ページでもう投げ出そうかと思ったが、我慢して読んでよかった。

独特という表現では生温いんじゃないかというほどの著者の言語感覚についていくのが特に序盤は大変だが(既存の熟語を当て字で置き換えるセンスは卓越している)、そのハードルをなんとか乗り越えて徐々に作中世界の成り立ちに興味を抱き、想像を巡らせていく段階に至れば、滋味が総身に沁みてくるような。
ただ、それでも一読しただけではまだ理解しきれていない部分も多い。
巻末の大森望氏の解説には非常に助けられたが(単行本に解説を入れるのは異例だが、確かに賢明な判断だ)、それを以てしても、せめて今一度、再読が必要だ。

日本にも凄いSFが生まれたものだ。





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