前半は具体的で興味深い事例の紹介が中心で、勢い衰えることなく読み進めることができた。
アニマルライツとアニマルウェルフェアあるいは動物解放論と環境倫理学の対比や、イルカ追い込み漁の本当の問題点、生類憐みの令の再評価などはとても勉強にもなった。
家畜から動物園の動物、ペット、実験動物に野生動物へ至るまで、広範囲に渡る分析がなされ、読み応えがあった。
壮大な思考実験を仕掛けられている、と言ってもいい。
が、後半に入ると一気に論が抽象的になり、著者自身の主張がどこにあるのかよく分からなくなる。
特にラスト、原発事故絡みの記述は甚だ情緒的でさえあり、一番聞きたかった「で、どうなの?」という結論がぼやかされてしまった。 |