関西弁と大阪の街の空気がよく似合う、その割り切りがいっそ気持ちいいぐらいの悪党たちが蠢く小説だ。
なるほど、確かに現在進行形で捜査中の事件と驚くほど枠組みが似ており、特に序盤を読んでいる時、実際のあの事件と脳内で少し混同してしまうことも。
ただ、もちろんエンターテインメントとしてこの作品ではそこから枝葉を伸ばしていき、続々と演目に加わってくるワルども諸共、破滅に向かってまっしぐらに突き進んでいく様が、読み物として非常に高いレヴェルで完成している。
悪党たちの語彙や会話の進行がワンパターンな嫌いはあるが、ダイアローグを中心にテンポよくストーリーをグイグイと展開していく技術も巧みだ。
一点、終わらせ方が少々強引で粗雑、色んなものが広がったままだったかな、と感じた。 |