あれ、やっぱりこれは連作集だったかな、と読み始めた時に思ってしまったが、実際はそうではなく、ライトなタッチに包まれてはいるが、なかなかどうして、しっかり骨太の長編ミステリーじゃないか。
一瞬、「謎解きはディナーのあとで」の悪夢が再び甦ったらどうしよう、と疑ったことを心からお詫びする。
この著者の作品を読むのは初めてなのだが、もしかしてこの業界出身の方? と誤解したほど、動物園の内情がリアルに描かれ、深いところまでではないものの飼育員の職業的葛藤にも触れられているので、生き物好きにはそのあたりもアピールポイントになる。
ところどころ散りばめられたユーモアも、的確でセンスを感じる。
続編も出ているようなので、これは読まねばなるまい。
タイトルはちょっといろんな意味で損をしているようで、残念。 |