「ゲノム編集」という言葉を時々目に、耳にするようになって1〜2年。
正直言って、本書を読むまで私は恥ずかしながらゲノム編集と遺伝子組み換えの違いを理解してはいなかったし、遺伝子やDNA、ゲノムに染色体といったそれぞれの用語が定義するものの区別もついていなかったが、それらの疑問が氷解するよう、最新の情報とともに分かりやすく説明してくれている。
科学的な理屈を最低限、キッチリと解説しつつも、門外漢に理解不能なレヴェルに陥らない、絶妙なバランスで書かれていると思う。
技術的に"できる"ことであるならば、その極限に挑み、押し上げ続けるのは研究者の性であろうし、また存在意義でもある。
このゲノム編集という技術に関しては、当然そこに「倫理」という別の枠組みを導入すべきなのは間違いないが、それがどこまで機能するのか、疑念は拭い去ることはできない。
ここまで技術は進んでいたのか、と先達の功績に感動を覚えるとともに、来るべき未来にうすら寒さのようなものを感じてしまう、そんな一冊だった。 |