動物好き、生き物好きならば面白くないということはあるまい。
ただ特に前半のペンギンやチンパンジーの章辺りは、なんだか筆致が単調でメリハリがないように感じられて、取材は丹念なのにちょっともったいないなあ…なんて思っていたが、アフリカハゲコウで少しリズムが出てきて、最終話のキリンまできたら序盤で感じた瑕疵がまったく気にならなくなったというか、しっかり娯楽性を備えた読み物に仕上がっていたと思う。
確かに動物園と言えば、生き物が好きな人ほどその存在に抵抗を感じる、という一面があることは否定できない。
野生動物の捕獲が困難になっている情勢等を考えると、その未来に不安を感じるし、存在意義を保っていけるのかすら怪しかったりもする。
そういった事情は我々以上にもちろん深く骨身に染みながら、動物たちのいわばQOLを何とか高めようと知恵を絞る人たちの奮闘がここには描かれている。
生き物相手の仕事は、大変なことも多くまた喜びを感じるであろうことも多く、振れ幅の大きいダイナミックな世界なんだなあ、ということがよく分かった。 |